遺族厚生年金改正は何を意味するのか?
「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

遺族厚生年金改正で損をする人、得する人Photo: Adobe Stock

子どもを授かるか、働くか

 子どもがいない寡婦(かふ)への遺族厚生年金を5年で打ち切る方向で国が動き出しました。30歳以上の寡婦は無期給付でしたので、収入のない専業主婦にとっては死活問題です。

 共働き世帯が増えたことが、背景にあります。夫が急逝しても、妻に収入があるなら問題ないというわけです。家事も育児も夫婦で分担するのだから、女性も稼いで経済的に自立するのが当たり前、ということなのでしょう。男女平等、年金制度の単純化、年金財源の確保という狙いにも、一理あります。とはいえ、穿った見方をすると、「働かないなら子どもを作れ」「子どもを作らないなら働け」とも映ります。

 このような報道が出たときには方針が固まっているので、既定路線です。一番困るのは、「結婚=永久就職」的な発想で経済的に自立していない女性です。選択肢は2つしかありません。

 1つ目は、子どもを授かること。そうすれば、万が一夫が急逝しても、遺族厚生年金を受け取れます。
 2つ目は、妻も経済的に自立することです。

 どちらを選ぶかは価値観次第ですが、遺族厚生年金のために子どもを作るというのも、おかしな話です。家族計画は夫婦が自由意志で決めるものですし、欲しくても子宝に恵まれないご夫婦だって大勢います。とはいえ、法律には逆らえませんし、子は授かりものなので、まずは夫妻ともに経済的に自立するのが先決です。

経済的な自立には3種類ある

 そもそも経済的な自立とは何か?ひと言でいえば「家族の生活費を賄える状態」ですが、給料、不労所得、貯蓄など、自立する手段にもいろいろありますし、自立のレベルも次のようにピンキリです。

1.職場から経済的に自立
2.配偶者から経済的に自立
3.親から経済的に自立

 通常は、社会人になることで、親から自立できます。また、手に職さえ持てば、配偶者から自立できます。遺族厚生年金の改正に対処するだけなら、親と配偶者から経済的に自立するだけでも十分です。

 可能なら、職場からも自立するほうが、精神面にも経済面でも安心です。理由は3つあります。

職場からも自立したほうがよい3つの理由

 結論からお伝えすると、理由は次の3つです。

1.65歳以降は、職場に依存できなくなる
2.上司や組織の理不尽な方針・命令から解放される
3.国と資本家のダブル搾取から解放される

 会社や役所には65歳以降の雇用義務がありませんので、いずれは職場に頼れなくなります。それなのに年金の実質受取額は減り続け、税金や社会保険料などの実質負担は今後も増え続けます。それゆえ、定年後も働き続ける人が増えていますが、選べる仕事はブルシット・ジョブ(給料が低いクソどうでもいい仕事)ばかり。ブルシット・ジョブも社会に不可欠ですが、人生の締めくくりには、寂しすぎます。それよりも、定年までに自立する準備して、自分らしいセカンドキャリアを生き抜くほうが人間的な尊厳を保てます。

 親に依存していたときは親の言う事を聞かなければならなかったし、配偶者に依存している人は配偶者に従わざるを得ません。同じように、職場に依存している以上、上司や組織の方針・命令は絶対です。たとえそれが、良心の呵責を覚えるほど反道徳的で理不尽だったとしても、従わざるをえない。本心と裏腹の行動を取り続けると、まじめな人はうつ病になりかねません。職場から自立すれば、そんな理不尽や精神的な苦痛からも解放されます。

 職場から自立すると、国と資本家の両方から搾取される経済的な理不尽も回避できます。給料明細に載らないので気づきませんが、サラリーマンは収入の半分以上を国民負担(税金+社会保険料)として抜かれています。さらには、会社の実質的な所有者である資本家からも、見えないところで搾取されています。

 このように冷静に考えると、親・配偶者・職場のすべてから自立して初めて、本当の意味で自立できることがわかります。

 もちろん、いきなり辞めて独立するのは、リスクが高すぎます。それゆえ、まずは副業方式で少しずつ、経済的に自立する練習を始めるのが現実的です。その際、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい』にあるような稼ぎ口二刀流や妻社長メソッドのようなフレームワークを活用すれば、よりスムーズです。年金制度改正を座して待つよりも、先手を打ってみてはいかがでしょうか。今回の改正を機に勝ち組になる未来が待っているかもしれません。

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。