近年、「副業」という言葉を耳にする機会が増えたが、実は副業市場では若手世代よりミドル世代のほうが経験やスキルを生かせる案件に出合いやすいという事実をご存じだろうか。ミドル世代が副業において、どんな価値を発揮することが可能なのか。事情に詳しい専門家に話を聞いた。(清談社 鶉野珠子)
副業においても進む
リモートワーク
2018年から本格化した副業解禁。Job総研が行った「2023年 副業・兼業の実態調査」によると、全体の22.6%が「現在副業をしている」と回答した。さらに「副業を始めたきっかけ」では、「テレワークの普及」が最多という結果になっている。
パーソルキャリア執行役員で、プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」の編集長も務める鏑木陽二朗氏は、「テレワークの普及が人々の働き方にもたらした変化は大きい」と話す。
「副業に限らず、今世の中は『自分が大切にしたい価値観に沿って働き方を選択する』という流れに変わってきています。テレワークは、場所と時間にとらわれないニューノーマルなビジネススタイル。就職や転職を希望する人の中でも『テレワークが可能な企業』という条件を挙げる人は多く、副業マーケットにおいてもテレワークが徐々に浸透しつつあります」(鏑木氏、以下同)
仮に、これまで通勤に片道1時間かかっていた場合、テレワークになれば1日2時間もフリーの時間が生まれる。浮いた時間を副業に充てようと思ったとき、サイドビジネスも自宅で行える業務にすれば、時間を有効活用できるわけだ。
だが「リモートで副業を」と思っても、「自分は副業でどんなことができるか分からない」と思う人は多いだろう。なかには「これまで現場仕事だったからリモートで発揮できるスキルがない」と悩んでしまう人もいるかもしれない。
「気づいていないだけで、誰しもが武器になるスキルや知識を持っています。しかも経験豊富なミドル世代ほど、その武器は多くなるのです。現在、副業市場にある仕事の種類は2種類あります。成果物を納品して完了する『短期タスク型』の仕事と、中長期にわたり自分が持っている知見やノウハウを提供して事業に貢献する『プロジェクト型』の2つです。特に『プロジェクト型』の仕事は、キャリアを重ねてきたミドル世代のビジネスマンほど活躍できる場だと思います」