頑張っているのになかなかお金が貯まらない。そんな人も多いのではないだろうか。「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回お話を伺ったのは、現役のお笑い芸人でありながらデイトレーダーとして大成功し、いわゆる“億り人”になったハニトラ梅木氏だ。そんな梅木氏は、『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。初回のインタビューでは、芸人をしながらデイトレードを始めるまでの経緯を伺った。(ダイヤモンド社書籍編集局)

35万円を2000万円に増やしたデイトレーダー芸人の“落とし穴”Photo: Adobe Stock

デイトレードを始めたきっかけは“仲間力”!

――芸人兼デイトレーダーのハニトラ梅木さんは、2023年の1年間で160万円が1.3億円になったと伺っています。すごいサクセスストーリーですが、そもそも株を始めたきっかけは何だったのですか?

ハニトラ梅木(以下、梅木):若手の頃からお世話になっている先輩芸人のAさんが、いろいろあって仕事がなくなってしまった時期がありまして。Aさんは顔が知られている分、バイトをするのもままならない。住む場所にも困っていたので、「ウチに来ませんか?」と提案して同居をすることにしました。

当時の僕は、芸人の傍らパチプロやパチンコライターもやっていました。ある程度は収入があったので、Aさんにちょっとした仕事を手伝ってもらってギャラをお支払いしていたんですよね。そんな毎日の中でAさんがもっと主体的に何かできることはないかと考えた結果、「トレーダーなんかどう?」という話になったんです。

当時の自分たちには、一種の共同体のような仲間意識がありました。これは『スタートアップ芸人』のテーマである“仲間力”にも通じる話だと思います。

株の知識はSNSとオフ会で学ぶ

――ちなみに、その時点で株の知識はなかったのですか?

梅木:全くありませんでした。最初は株の世界で活躍している人とかのやり方を勉強して、なんとかやっていたという感じです。

わからないことはオフ会に参加して質問したこともあります。とくに参考になったのがSNSでの情報収集。トレーダーのX(旧Twitter)を見て、トレード手法を分析していました。

ただ、自分の本業はあくまでも芸人です。その次がパチンコ。株も入れたら三本柱にはできますが、本格的にトレーダーになることには躊躇していたんです。そのタイミングで“コロナ”がやって来ました。

コロナ禍で芸人とパチンコの仕事が壊滅状態になり、結果的に株しかやることがなくなってしまい、本格的にトレーダーの道に進むことになったんです。

コロナ禍の上昇相場に乗れたのに……

――そこから、日本株のデイトレードで生活をするようになっていったのですか?

梅木:そうです。食っていかないといけませんから。ただ、普通はめちゃくちゃ負けて終わりそうじゃないですか? ところが僕の場合は、元金35万円が、1年間で2000万円に増えたんです。これが2021年の出来事です。

――ええっ!? 50倍以上に増やしたんですか! 実はものすごい才覚があったのですね。

梅木:そう思いますよね。僕も、勉強してきた結果が「大きな儲け」だったので、自分の実力だと思っていました。

しかし、今ならわかります。当時はコロナ・ショックと呼ばれる世界的な株式相場の下落が発生した。下げが大きかった分、そこからまた急激に戻っていくという世の中の流れがあり……ビギナーズラックに近いというか、実は経験や知識が乏しい初心者でも、非常に勝ちやすい1年だったんですよ。

35万円を2000万円に増やして、喜んでいられたのも束の間です。その後、同じようにやっても勝てなくなっていきました。

落とし穴は「生活水準をあげてしまったこと」

――何故勝てなくなってしまったのでしょうか?

梅木:実は株が通常の難易度に戻っていたので、それまでの手法が通用しなかっただけなんですが、当時はわけがわかりません。

しかも、その頃には自分の生活水準を上げてしまったこともあり、せっかく増えた2000万円はジワジワと減っていき……2022年には残金が160万円に激減。借金しないと生きていけないんじゃないかと考えるまでになったんです。

成功したとしても、そのまま成功し続けるとは限らない。だからこそ、生活水準はすぐに上げないようにすることが大切だと、その時に学びました。

『スタートアップ芸人』にも、失敗した時の向き合い方やリスクを取りながら挑戦するエピソードも書かれていますよね。デイトレードに限らず、成功するためにはリスクをとる必要があります。成功したいと考えてる人には参考になる本だと思います。