東大文3に合格した男はなぜ「慶応文学部に落ちた」のか?優秀層が“滑り止め受験”でやらかす理由Photo:PIXTA

計9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験を持つ筆者・濱井正吾(通称:9浪はまい)が、大学入試における「不思議な併願結果」について解説します。東大に合格したにもかかわらず、早慶の入試で足元をすくわれる――。優秀層の中に、こうした受験結果になる人が一定数存在する理由は何なのでしょうか。(教育ジャーナリスト 濱井正吾)

東京大学に合格したのに
滑り止めの早慶は不合格!?

 私はかつて、家族の事情などで集中して勉強するのが難しい環境にいました。そこから仮面浪人を経験したり、社会人生活と並行して受験勉強を重ねたりする中で、難関大学合格への熱意が高まりました。そして9浪を経て、念願叶って早稲田大学に合格しました。

 ただ浪人生時代の私にとって、目標としていた「早慶」は雲の上の存在でした。自分に合う予備校にやっと出会えた9浪目までは、ずっと広大な砂漠の中をさまよい、果てしなく遠いゴールに向かって歩き続けているような状況で、早慶に受かるための勉強法が分からずもがいていました。

 そして紆余曲折を経て、9浪目の私は明治大学・立教大学の併願を決めたものの、基本的には「早大に特化した対策」に専念することにしました。結果、入試本番では明治・立教に全敗しながらも、早大に合格するという結果を叩き出しました。

 偏差値などの観点から、世間一般では「早慶に受かる人はMARCHにも受かる」と考えている人が多いかもしれません。ですが、私はそうした「定説が当てはまらない受験生」になってしまったのです。

 しかし早大に入学後、さまざまな大学の友人・知人たちと受験生時代の思い出を話すようになってから、私は「もっと意外な経験」をしている人たちが存在することを知りました。東京大学に合格しながら、滑り止めの早慶に落ちている人たちが複数いたのです

 そこで今回は「東大合格・早慶不合格」という併願結果が出る理由について、知人の体験談を踏まえながら解説していきます。

【次ページ以降】
・東大合格者が「滑り止め」の早慶に落ちる三つの理由
・悪戦苦闘する東大志望者の前に立ちはだかる熱狂的早慶ファン
・東大文3に合格した男の「慶応入試」失敗談