「東大理1の入学を辞退します」公立出身の元いじめられっ子が、「10浪」の末に叶えた夢を“蹴った”ワケPhoto:PIXTA

計9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験を持つ筆者・濱井正吾(通称:9浪はまい)が「大型浪人の実態」を赤裸々に語ります。世の中には、浪人を重ねた年数が筆者よりも多い「2桁浪人(10浪以上)」が本当に存在します。そうした人たちが勉強を続ける理由は何なのでしょうか。中には、せっかく合格した東京大学への入学を辞退する人も――。(教育ジャーナリスト 濱井正吾)

10浪以上の経験者に
共通する要素とは?

 私はかつて、家族の事情などで集中して勉強するのが難しい環境にいました。そこから仮面浪人を経験したり、社会人生活と並行して受験勉強を重ねたりする中で、難関大学合格への熱意が高まりました。そして9浪を経て、念願叶って早稲田大学に合格しました。

 私はこうした浪人生活の中で、いろんな受験生と机を並べて勉強してきたものの、そのほとんどが1浪生。多浪を経て大学受験をする人は本当にごくわずかでした。

 今でこそ「多浪経験者」の受験体験談がSNSやYouTube上にあふれるようになりましたが、私が受験勉強をしていた時期に、そのような情報はほぼ皆無でした。

 そのため、当事者である私自身が他の多浪生の実態を知らず、自分と似た境遇の人が居るのかどうか謎に包まれている状況でした。

 しかし大学に入ってからは、早大以外の学生も含め、複数の多浪経験者と接点ができました。その中には、実は浪人の年数が私より多い「10浪以上」の経験者も珍しくありませんでした。

 ただ読者の皆さんが、こうした「大型浪人」と接する機会はあまりないでしょう。そこで今回は、浪人の年数が「2桁」に及ぶ人たちの実態をお届けしていきます。中には長年の努力を実らせたのに、第一志望校・東京大学への入学を辞退した驚くべき人物も――。

【次ページ以降】
・「大型浪人」の特徴
・10浪の末に東大理1合格→まさかの「入学辞退」した知人
・「受験アスリート」の生き方から学べること