これが、日本市場におけるアップル復活の舞台裏です。この復活劇で学んだ世界標準の施策や考え方は、新刊『「これからの世界」で働く君たちへ』という書籍で詳しく紹介していますが、この連載ではその中から10個を選んで、次回から1つずつ解説していきます。

 実際に私が行い成果を出せた要因は、結局、基本的なビジネスの定石であり、変化の多いグローバル時代の「新しい当たり前」の実践だけでした。うまくいかなかったことは、奇をてらい、基本に忠実ではなかったものばかりです。危機的な状況となると、当たり前すら見えなくなり、実践できなくなることを実感しました。

 もしかしたら、今日本が置かれている状況と当時のアップルは似ているかもしれません。アップルの復活劇を舞台裏で体験した唯一の日本人経営者として、また30年間、外資系企業で戦ってきたビジネスマンだからこそ言える、「変化に対応できる力」「変化をつくり出す力」といった、「これからの世界」で役立つ原理原則を、新刊書ではふんだんに盛り込みました。

・世界を変えるチェンジメーカーの条件とは何か?
・従来の価値観が根底から変わる今、どんなサバイバルスキルが必要なのか?
・今後のビジネスで本当に大切なこととは何か?

 こうした、きちんと身につければ一生役立つ考え方を、これから世界に船出しようとする人たちに向けて書き記しました。

「これからの世界」のドアは、すぐそこにあります。私がドアノブを回すのを少しばかりお手伝いしましょう。あとは自分のやる気さえあれば、ドアを押し開くことができます。きっと、ドアの向こうにはワクワク、ドキドキする別世界が広がっていることでしょう。(第2回に続く)

次回は4月26日更新予定です。


新刊書籍のご案内

『「これからの世界」で働く君たちへ』
伝説の元アップル・ジャパン社長の40講義

この連載の著者・山元賢治さんの新刊が4/26に発売となります。これからの世界を生き抜く上で役立つ40の指針を詳しく解説しています。連載はそのうち10個を選出して掲載していますが、本では「チェンジメーカーの条件」「世界標準の武器」「サバイバル・スキル」「自分の価値観に素直に生きる」「これからのビジネスに必要なこと」「世界で戦う前に知っておくこと」などのカテゴリーに分けて、さらに多くの項目について解説しています。変化が求められるこれからの時代、世界と、世界で戦おうとする人に参考となる内容が満載の1冊です。

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山元賢治(やまもと・けんじ)
1959年生まれ。神戸大学卒業後、日本IBMに入社。日本オラクル、ケイデンスを経て、EMCジャパン副社長。2002年、日本オラクルへ復帰。専務として営業・マーケティング・開発にわたる総勢1600人の責任者となり、BtoBの世界の巨人、ラリー・エリソンと仕事をする。2004年にスティーブ・ジョブズと出会い、アップル・ジャパンの代表取締役社長に就任。iPodビジネスの立ち上げからiPhoneを市場に送り出すまで関わり、アップルの復活に貢献。
現在(株)コミュニカ代表取締役、(株)ヴェロチタの取締役会長を兼任。また、(株)Plan・Do・See、(株)エスキュービズム、(株)リザーブリンク、(株)Gengo、(株)F.A.N、(株)マジックハット、グローバル・ブレイン(株)の顧問を務める。その他、私塾「山元塾」を開き、21世紀の坂本龍馬を生み出すべく、多くの若者へのアドバイスと講演活動を行っている。
著書に『ハイタッチ』『外資で結果を出せる人 出せない人』(共に日本経済新聞出版社)、共著に『世界でたたかう英語』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。