教室で机に向かい、一斉にテストを受ける小学生たち写真はイメージです Photo:PIXTA

全国学力・学習状況調査の結果が公表されると、都道府県別の順位や平均点の変化が注目を集める。「○○県が1位」「前年より平均点が下がった」といった報道を見て、子どもたちの学力の高低や、その推移を判断する人も少なくないだろう。しかし、こうした数字を単純に比較するだけでは、本当の学力差や学力の変化を捉えることはできない。教育測定学の視点から、全国学力テストの結果を正しく読み解くために知っておきたいポイントを解説する。※本稿は、教育測定学者の『テストと学力 何を測るのか、どう測るのか』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。

順位だけでは都道府県間の
学力差はわからない

 日本には、都道府県単位で「自分たちの都道府県が何位になっているのか」を気にする国民性があるのではないかと思わされることが多い。毎年行われている全国学力・学習状況調査の結果も都道府県別の平均点が「順位」の形でしばしば報道され、「1位は○○県」という見出しが新聞の紙面を飾る。

 実際には、国立教育政策研究所が公表する結果は順位の形で公表されているのではなく、教科ごとのスコアの平均値が都道府県別に公表されている。「順位」の値に置き換えられると、平均値や人数の値が都道府県間でどのような差となっているのかがわからなくなってしまう。

 ニュースの記事のなかでは、細かい「数字」よりも単純化した「順位」は特に目立つこととなろう。しかし、ものごとの本質を議論したい場合には、順位のような「ざっくりとした指標」は望ましくない。1位と2位の間がどれだけであったのか、すぐに逆転する程度の差なのか、大きく離れているのかといったきめ細かな分析が求められる。

 順序の値は、その差をとったとしても、意味のある結果を得ることはできない。1位と10位との差が「9」で、11位と20位の差が「9」だからといって、その「9」という値が同じ隔たりの大きさを意味するとは言えず、順位の差は得点差を正確に表すとは限らない。