スティーブ・ジョブズ氏 Photo:dpa/JIJI
Appleの創業者スティーブ・ジョブズは、日本の文化を深く理解し、たびたび日本を訪れていた。その素顔を追うべく記者が向かったのは、ジョブズが特に心を寄せていた京都。彼をとりこにしたすし屋の主人とハイヤーの運転手が、テクノロジーの巨人の意外な一面を語ってくれた。※本稿は、元NHK記者の佐伯健太郎『スティーブ・ジョブズ1.0の真実』(晶文社)の一部を抜粋・編集したものです。
ジョブズの素顔を探るべく
京都へ取材に向かった
2020年11月初め、僕は京都にいた。
スティーブ・ジョブズが生前、たびたび京都を訪れていたことはよく知られている。
番組(編集部注/NHK WORLD「The Secret Passion of Steve Jobs〈知られざるスティーブ・ジョブズ コレクション〉)に必要な要素を集めるためのリサーチとして、彼の足取りを現地でたどってみることにした。
まず訪ねたのは名店「すし岩」だった。創業は1960年。京都ですし店と言えば出前がほとんどだったという時代に、当時としては珍しいカウンター席をメインにスタートした。
2代目店主の大西俊也さんが英語を話すことから、外国人のVIPも多く訪れる。マドンナも来たことがあるという。大西さんは僕と同じ歳だった。ジョブズが訪れた日のことを話してくれた。
それは、ジョブズが亡くなる1年余り前の2010年7月、最後となった京都旅行の最終日だった。昼前、大西さんは「今から外国人の方、3名様をお願いします」という連絡を受けた。
店に入ってきたのは3人の家族連れだった。ジョブズが座ったのはカウンター席の一番奥だった。アメリカのすし店でもお気に入りの席だ。隣に娘のエリン、そして妻のローリーンが座った。







