母親からの壮絶な教育虐待に苦しめられたE子さん。辛い虐待の末に中学受験は全滅した。なぜ母親は教育の教育熱は過熱したのか。どうしてE子さんは母親に「やめる」と言えなかったのか。中学受験や早期教育が活況だが、我が子をE子さんの二の舞にしないために親は自制が必要だ。(取材・文/ジャーナリスト 村田くみ)
子のために東京を去り
お受験と無縁の田舎へ
E子さんは8年前に都内から東北のある町に移住した。人口約8000人で、自宅から徒歩圏内にコンビニもスーパーもない。自然豊かな環境が気に入った。地縁も血縁もなかったが、幼い娘と息子を伴う移住を決断した。夫が「田舎に移住してみないか」と言ったとき、迷うことなく賛成した。
「習い事でがんじがらめにさせるよりも、自然の中で成長を見守りたいという私の希望を実現できる。都内だと小学校に上がればどうしても『学習塾に通わせるかどうか』という問題が出てきます。そのとき、私は、母と同じように子どもたちを追い立て、自分も毒親になってしまうのではないかと思い、塾がなく“中学受験”とは無縁の街で暮らすことにしました」(E子さん)
少子化に伴って小・中学校に通う子どもの数は過去最少となっているのにもかかわらず、人気私立小学校の入学倍率は10倍を超えるところもあり、首都圏では相変わらず“お受験”が過熱している。
専門家によると、親世代は中学受験を経験している人が多く、激化する中学受験を避けるために小学校から私立に入れたいと思い、保育園の年中の秋ごろから受験の準備に取りかかるそうだ。E子さんの移住先ではこのような受験戦争はもちろん、中学受験からも一切解放される。