【毒親を捨てる】70代毒母の異常行動に鳥肌…突然の対面で娘の体に生じた「異変」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

今の日本の法律では「親子の縁」を切る手段はないが、行政上の手続きを済ませば、物理的に親と絶縁できることがわかった(前号)。『毒親絶縁の手引き DV・虐待・ストーカーから逃れて生きるための制度と法律』(紅龍堂書店)で監修を務めた柴田収弁護士に、法的に「加害」と認められる毒親の行為について話を聞いた。(取材・文/ジャーナリスト 村田くみ)※守秘義務の関係上、実際の事案から一部を改変しています

「この人間のクズ」
暴言も法的に加害と認定される

 法律的に絶縁できなかったとしても、「DV等支援措置」などの行政上の手続きを駆使して、毒親が子どもに直接接触できなくすれば、事実上、絶縁状態になる。そのためにも、過去あるいは今現在受けている毒親からの「加害」行為を見過ごさないようにしたい。毎日の生活のなかで当たり前になっていた悪習慣は犯罪行為にあたるケースもあるので子ども自身が早く気づくことが一歩だという。

「今の日本の法律では、子が親に何らかの義務を法律上負うことはほぼないので、親子の縁が切れなくても子にとって法的な不利益は存在しない、と考えられています」

「また民法上、『直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある』と定め、子も親に対する扶養義務を負うということに条文はなっていますが、実際にこの条文に基づいて親が子に対して金銭の請求をしても、それが裁判で認められることはほぼありません」

「ですので、子どもの側が開き直って、親から何を言われようと『今後一切、あなたとは関わらない』と、宣言してしまえば、戸籍上は親子であっても関係を終わらせることができるのです」(柴田弁護士)

 一緒に過ごしていると感覚が麻痺して「自分が受けている行為は虐待だ」と気づけないことがある。毒親からの「加害」は必ずしも殴る・蹴るといった暴力だけに限らず、人格を否定する言葉や命令口調で高圧的な態度を取る。これらの行為も「加害」になる。

「殴る・蹴るといった暴力を振るっていなくても虐待と認められるケースはあります。例えば『お前はなにもできない』『私の言うことを聞いておけ』『何をやっても無駄だ』などという暴言は言葉の暴力ですし、目の前で毒親がほかの家族に対して暴力を振るったり、酷い言葉をかけたりしたことは面前DVといい、心理的な虐待にあたります。泣き寝入りしないで専門家に相談することをお勧めします」

 例えば、前号で父親からの嫌がらせや執拗なストーキング被害に遭ったYさんは、父親と暮らしていたときは気づかなかった親の行為が後に「加害」だと気づいた。「この人間のクズ」「出ていけ」など数々の暴言は言葉の暴力、未成年の時期に十分な養育を果たさなかったのはネグレクトにあたる。

 子どもが見た母への暴力は心理的虐待で、転居先まで追いかけるストーカー行為は「迷惑防止条例違反」が適用され得ることがわかった。