ビジネスシーンにしろ、プライベートにしろ、「この人と仲良くしたい、気に入られたい」と思うことは誰にでもあるだろう。しかし好かれたい相手に「すぐ褒める」のは得策ではない。そう語るのは、「ビジネスにもデートにも使える」「早く出会いたかった」と反響を呼び続けている『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉氏。安達氏はコンサルティング会社で、「社長を褒めるな」と教わったそう。本記事では『頭のいい人が話す前に考えていること』には入りきらなかった、「好かれたい相手に褒める前にやるべきこと」について記述する。(構成/ダイヤモンド社:菱沼美咲・淡路勇介)
なぜコンサルでは「社長を簡単に褒めるな」と教わるのか
コンサルタントは、会社経営者や幹部に信頼され「この人なら悩みを話してもいい」と思ってもらわないといけません。簡単にいえば、好かれないといけないんです。嫌いな人に自分の悩みを話そうとは思いませんから。ビジネスシーンにしろプライベートにしろ、全員に好かれる必要はありませんし、実際全員に好かれることは不可能ですが、とはいえ「この人には好かれたい!」という相手は誰だっているでしょう。
では、好かれたい相手が目の前にいる時、どんなコミュニケーションを取ればいいのでしょう。
相手に好かれようとしてにかく褒める人がいます。私も新人の頃、相手に好かれようとして褒めようとしていました。
でも、コンサルティング会社ではクライアント先の社長を単純に褒めなと教わるんです。
社長は基本的に褒められ慣れています。「社長、いい時計ですね」と言われても、心を開いた相手でない限り、媚を売っているように感じるでしょう。
褒めるのって簡単なようで実は結構難しいんです。的を射ていないと、相手は「お世辞言かな」と思ってしまいます。褒められているけど、「感じがよくない」という経験ありませんか。とにかく褒めればいいっていう問題でもないのです。
感じのいい人が褒める前にやっていること
では、褒めずにどうすればいいのでしょう?
事実を述べるだけでいいんです。
社長は自分の会社が好きです。なので、「今日入ってきたとき、従業員のかたが玄関まで掃除してましたけど」と事実を述べる。それを社長が自慢したいと思っていたら、たくさん話してくれます。「実は朝礼でね、掃除の習慣をつけようって話したんだよ」みたいな感じで。それに対して「とてもいいですね」と言うだけでいい。これがいちばん相手を褒めたことになります。
大事なのは相手に話してもらうことです。もっと言うと、相手に自慢をさせるのです。
優秀で感じのいいコンサルは、相手に話させて自慢させるのが上手いんです。逆に、「頭はいいけど感じの悪いコンサル」っていますよね。そういう人は、自分がたくさん話して知識を披露するんです。
まとめると、褒めるのは難しい。だから好かれたい相手に対して、やたらと褒めるのではなく、相手に話してもらうために、事実だけ述べて、自慢させる。人間は自慢したいことを思う存分話せた相手に対して、感じが悪いと思うことはありませんから。
この技術が使えるのは、クライアントだけではありません。
たとえば、仲良くなりたい同僚がいたとします。その同僚のカバンにキーホルダーが付いてたとします。
あなたならどう話しかけますか?