目の前の相手に「優秀だな」と思われる人がいる一方で、「こいつバカだな」と思われる人がいる。両者の違いはいったい何だろうか。「実は、相手の印象を左右するのは質問に答えているかどうかなんです」そう語るのは、2023年と2024年上半期ベストセラーランキングビジネス書部門で1位(日販/トーハン調べ)となり、「もっと早く読んでいればと後悔すらした」「ぶっ刺さりすぎて声出た」と反響を呼び続けている『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉氏。今回は、安達氏に、目の前の相手に「こいつバカだな」と思われる話し方とそれを避けるカンタンな方法について聞いた。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

優秀 バカ 頭のいい人 話し方Photo: Adobe Stock

質問に答えているかどうかで分かる

――目の前の相手に「この人は頭がいい」と思われる人と「バカだな」と思われる人の違いは何ですか。

安達裕哉氏(以下、安達) 会社によって違うかもしれませんが、「質問に答えているかどうか」ですね。質問されたことに答えることは簡単なように思えて意外と難しいんです。

 例えば、就職活動の面接で「学生のときにした体験で、最も貴重だったと思える体験は何ですか?その理由と一緒に答えてください」と聞かれたとします。多くの就活生は、体験の話ばかりで理由を話さなかったり、「貴重な体験」ではなく「良かった体験」にすり替えて話したりします。そうすると、面接官に「「良い」と「貴重」は違う気がするんですけどそれは理由があるんですか?」とツッコまれるのです。聞かれたことに答えられるだけで、実は結構優秀なんですよ。

――単刀直入に答えるのが難しかったりもしますよね。

安達 めちゃくちゃ難しいですね(笑)。たまに、聞かれたことに絶対答えない人もいます。相手が何を求めているかを把握せずに答えてしまうと、「あいつどうしようもねえな」と呆れられてしまいます。これが面接だった場合、何を話してるか分からない人は混乱していることが面接官に伝わってしまいますね。

「バカだな」と思われる話し方を避けるコツ

――自分が答えるべき質問にきちんと答えられるコツはありますか?

安達 あります。「復唱すること」です。コンサルティングのテクニックとして教わったのですが、すごく単純ですよね(笑)。もちろん、復唱するといっても少しは言い換える必要がありますが、一回復唱することで答えなければならないことが整理されるんです。

 復唱するときは、心の中で唱えるのではなく、声に出すのがおすすめです。私もお客さんから「安達さんはどうお考えですか?」という質問を受けることがあります。コンサルタントは自分の考えを言ってはいけない決まりなので、「…私が…どういう考えを…持ってるかを…述べればいいですか?」と聞き返して、時間稼ぎをしている間に逃げ道を考えていました(笑)。ゆっくり話せば緊張もほぐれるし、10秒稼げます。この稼いだ時間で答える内容を整理すると、質問に的確に答えられるようになりますよ。

 復唱して相手が知りたいことを確認をして、自分のペースで話す。目の前の相手が「この人優秀だな」と思うのは、自分が話したいことを話す人ではなく、相手が聞きたいことを質問から正確に汲み取り、ちゃんと自分なりに考えて話せる人なんですよね。

(本稿は、『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉氏へのインタビューをもとに構成したものです)