「やればできる!」と思考が変わる話題のベストセラーが日本に上陸。31歳、一度は人生をあきらめた著者が再起できたのは、古今東西の成功者たちが持つ「6つのマインド」にあった。3000冊を超える本を読み、抽出された「プラス思考」「決断力」「切実さ」「愚直さ」「謙虚さ」「根気」を武器に、一度しかない人生、「なりたい自分」になる夢を行動に変える方法を1冊に凝縮。新刊『たった一度でもすべてをかけたことがあるか』から「やればできる」と信じられるノウハウを紹介する。

成功者の「運がよかった」の裏に隠されている「運七技三」Photo: Adobe Stock

感謝の気持ちを表現する

 成功した人たちのインタビューで、共通して語られる言葉があります。

「運がよかったのです」

「運七技三(運が7割、技が3割)」と言われるように、成功には運が占める部分が多いのです。ですが、成功は運の結果に過ぎないと言うには、彼らは驚くほどよく似ています。彼らはいずれもプラス思考と切実さを持ち、黙々と自分の仕事に最善を尽くした人たちです。言い換えれば、運七技三とは、運が重要な世の中にあっても、技が3割もの比重を占めていることを強調しているわけです。

 準備を重ねた人だけが、運をつかむことができます。にもかかわらず、成功した人たちがそれを運のおかげだと言うのは、自分だけの力で成功したわけではないからです。職場の上司や同僚の助力、親の愛情、恩師の教えがなくては、いまのあなたと未来のあなたは存在しないでしょう。

 その感謝の気持ちを胸のなかにしまっておくのではなく、積極的に表現しましょう。感謝を表現するのは、自分の成功は自分だけのものではないことを認めることです。感謝を表現すれば、成功に酔って慢心することも防ぐことができます。

 映画『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー監督賞を受賞したポン・ジュノ監督は授賞式のスピーチで、マーティン・スコセッシ監督への感謝の言葉を述べました。「私はスコセッシ監督の作品で映画を学んだので、こうして候補者として名前が並んだだけでも光栄です」

 スコセッシ監督は、その年のアカデミー賞で賞を取れませんでした。ですが、ポン・ジュノ監督の受賞スピーチは、スコセッシ監督に対する熱いスタンディング・オベーションを引き出しました。それ以降、ポン・ジュノ監督はスコセッシ監督と個人的に手紙をやりとりする間柄になりました。感謝の表現は、人間的なつながりも強化するのです。

(本記事は、『たった一度でもすべてをかけたことがあるか』から抜粋、一部編集したものです)