「やればできる!」と思考が変わる話題のベストセラーが日本に上陸。31歳、一度は人生をあきらめた著者が再起できたのは、古今東西の成功者たちが持つ「6つのマインド」にあった。3000冊を超える本を読み、抽出された「プラス思考」「決断力」「切実さ」「愚直さ」「謙虚さ」「根気」を武器に、一度しかない人生、「なりたい自分」になる夢を行動に変える方法を1冊に凝縮。新刊『たった一度でもすべてをかけたことがあるか』から「やればできる」と信じられるノウハウを紹介する。

100人にひとりもできない「締め切りを守る」習慣の身につけ方Photo: Adobe Stock

考えながら手を動かすのではなく、手を動かしながら考える

 プログラマーの中島聡(なかじまさとし)も、先延ばしする癖がありました。(目の前の満足感を求める)サルに人生の主導権を握られていた彼がそれを取り戻したのは、偶然のきっかけからでした。小学3年生の夏休み。誰にでも覚えがあるでしょうが、夏休みの宿題が大嫌いだった彼は、いつも宿題を
先延ばしにしていました。そうやって毎日遊んでいると、あっという間に時間が経ち、夏休みは終わりに近づいていました。

 2学期の始業式が3日後に迫った日、それまで先延ばしにしてきた夏休みの宿題を、彼は必死で片付けていました。そのとき、電話のベルが鳴りました。親戚の叔父さんからでした。一緒に海に遊びに行こうと言うのです。ですがお母さんは、彼の宿題がまだ終わっていないからと、断ってしまいました。そのときの彼の胸は、後悔でいっぱいでした。「先に宿題をやっておけば……」という思いが、頭から離れませんでした。

 それ以来、彼は夏休みになると、最初の2週間で宿題を全部終わらせるようになりました。宿題を終えてしまえば、海でも山でも自由に遊びに行けます。彼の人生は変わり始めました。

 小学校の夏休みの出来事を教訓にして、彼は仕事を先延ばしせず、日程を前倒しにする習慣を身に付けました。そして、この習慣を通じて、自分より優れた人にも後れを取らなくなったというのです。

「私は“あること”を最も大事だと思っている。だが、それを守る人は、100人中ひとりもいなかった。その“あること”とは、締め切りを守ることだ。正確に言うと、常に締め切りを守れるように仕事をすることだ」

 サルに困っている人たちに、中島聡の時間管理術をお勧めします。彼は、締め切りに合わせたら締め切りを守れない、と断言します。その代わりに「2:8の法則」で、いますぐスタートすべきだと言います。

 2:8の法則とは、締め切りまでの時間の最初の2割で全力疾走して、仕事の8割を終わらせろ、というもの。考えながら手を動かすのではなく、手を動かしながら考える。そして、残りの8割の時間で仕事の完成度を高めればいい。つまり、とにかくスタートして、全力で仕事の大半を終わらせることが重要なのです。

(本記事は、『たった一度でもすべてをかけたことがあるか』から抜粋、一部編集したものです)