チャートを分析すると…

 正解は、最後にお伝えします。

 このクイズは、チャート分析とファンダメンタルズ分析を合わせて、総合的に判断するクイズです。

 最初にチャート分析の視点から、A社株を評価します。

 チャートの中で①、②、③と番号をつけた箇所に注目してください。

株のプロが教える「株の正しい買い時と売り時」

■①強気シグナル(底値圏で出来高急増、その後反発)

 底値圏で売買高急増。A社がB社にTOBをかけるという発表を受けて、財務上の負担増を懸念して投げ売りが出た。

 ところがその後、株価は上昇。ここで投げ売りした人は、「しまった、あわてて売らなければ良かった」と後悔している。

■②弱気シグナル(戻り高値を株価が超えていない)

 一時92.4円まで株価は反発したが、ここで戻りは終わり、また下げに転じた。

 足元、株価は91.8円まで上昇してきているが、まだ戻り高値を超えていない。

■③強気シグナル(4連続陽線・ゴールデンクロス)

 4日連続で陽線をたて、5日移動平均線と20日移動平均線がゴールデンクロスを形成している。

 以上①~③のチャート分析から、少し買ってみたいところです。ただし、自信を持って買いに行けない理由が、他にあります。

■日柄整理ができていない

 9月に急落してから、まだ1ヵ月ちょっとしか経っていない。5日移動平均線と20日移動平均線がゴールデンクロスを形成したものの、もっと長い13週移動平均線は、まだ上向きに変わっていない。

 ちょっと買ってみたいと思うものの、自信満々で買いに行ける状況ではありません。

 以上の考察より、チャート分析では「やや強気」の判断です。

ファンダメンタルズを考慮すると…

 次にファンダメンタルズ分析を考えます。

 巨額買収を発表した会社が、財務負担を懸念して売られることはよくあります。

 ただし、買収による長期的な収益拡大の期待が高ければ、しばらくしてから株価が見直されて上昇することがあります。

 巨額買収が成功か失敗か、最終判断は買収をしてから何年も経過しないとわかりません。買収直後は、買収が失敗か成功かについて、いろいろな思惑が乱れます。

 ただし、チャート分析もあわせると、目先、買収は成功との思惑が広がる可能性があると考えられます。

 チャートとファンダメンタルズを総合的に判断すると、「買い」が正解です。「売り」は明らかに悪手です。

「様子見」の判断は誤りとは言えません。詳しいことがわからないうちは手を出さないという考えも、悪くはありません。

A社のその後の株価は…

 では、最後にA社のその後の株価推移をお見せします。

株のプロが教える「株の正しい買い時と売り時」

 この通り、大きく上昇しました。

 A社はNTT(証券コード:9432です。2023年に1対25の株式分割を実施したことを反映して、
株価を調整して日足チャートを作成しています。

 B社は、当時上場していたものの、NTTの完全子会社となって上場廃止となったNTTドコモです。