特に1年次の試験は緊張とガリ勉を強いられる。池田は「全く試験の為めに生きてたやうなものだ」「あゝつまらない、これぢやまるで試験の為めに学校へ入つたやうなものだ」と嘆息するものの、結果は首席で特待生の栄誉を得た。

 2年次はお決まりのごとく中だるみとなり、ビリヤードなどの娯楽にも心を向ける日々を送るが、ある時大学の掲示板で懸賞論文の募集を知る。「世界の平和」に関する論文である。池田は応募してみることにした。

懸賞論文で当選するほど勉強
卒業式で天皇から賞品を拝受

 驚くべきことに、池田が東大図書館に足を踏み入れたのは、入学から1年以上経ったこの時が最初だった。東大の優等生ともなれば図書館に籠もりっきりという印象があるが、当時は必ずしもそうではなかったようである。

 池田がそういうように、「金がなくて本が買へぬのぢやなし」、「参考書」を自分で買って読めばよい。むしろ、図書館で興味のままに1冊を手に取って読みふける時間が無駄とさえいえるのかもしれない。