空中に浮いているかのように圧迫感なく、お気に入りの絵や小物などを収納できる壁面棚が実現する――その名も「AIR SHELF」。収納具の突っ張り棒で国内トップシェアを誇る日用品・インテリアメーカーの平安伸銅工業(大阪市)が、つっぱり機構の技術と価値を再定義し、2024年2月に送り出した全く新しい形の“空中棚”だ。(取材・文/大沢玲子)
同社は1952年、銅加工の町工場として創業。15年より3代目・竹内香予子氏が代表取締役を務める。「2代目の父の時代に、ヒット商品となった突っ張り棒が競合他社との価格競争に巻き込まれ、新しい売り上げの柱となる商品開発に取り組む中、果たして会社としてどんな未来をつくっていくべきなのか。14年より常務取締役として経営に携わっていた夫(一紘氏)と考えるようになりました」と振り返る竹内氏。
そこで18年に打ち出した会社のミッションが、「『暮らすがえ』の文化を創る」。突っ張り棒がなぜ世の中に支持されているのか。その理由と提供価値を抽象化していくと、「暮らしをライフスタイルなどの変化に合わせて柔軟に組み替えていけるような可変性や、自分らしくアレンジできるカスタマイズ性にあるという気付きを得ました」と竹内氏。