ビーカー入り手作り焼きプリンで全国区に。「神奈川といえばマーロウ」を目指す

――ビーカー入り手作り焼きプリンの専門店として知られていますね。

白銀 おかげさまで、今年で創業40周年を迎えることができました。現在は逗子や鎌倉、葉山など神奈川県内を中心に、東京のGINZA SIXや三軒茶屋駅前など、12店舗を展開しています。

ビーカー入り手作り焼きプリンで全国区に。「神奈川といえばマーロウ」を目指す代表取締役社長白銀和馬氏。1974年神奈川県生まれ。高校卒業後、カナダ留学を経て、マーロウに入社。2019年代表取締役社長に就任。

――このプリンが誕生した経緯は?

白銀 もともとこのプリンは、当社の発祥であり今も運営しているレストランのメニューとして開発されたものでした。

 1984年に大手流通企業でスーパーバイザーをしていた現会長である父が脱サラし、地元のお客さまに愛される店をつくろう、と横須賀西部の海岸沿いにレストランをオープンしました。

 それまで父は飲食業の経験もなく、熟練のシェフと比べて料理の腕はありませんでした。そこで、とにかく素材にこだわったメニューを出そうと考えました。デザートとして選んだのがプリンです。パティシエのような技術はなかったので、素材にはこだわり、おいしいものを作ろうと考えました。

 そのプリンがお客さまから支持され、テイクアウトを希望されるお客さまが増えてきたのです。当初は製造時に使う耐熱ビーカーからくり抜き、別の容器に入れ替えていましたが、その過程で形崩れしてしまいます。そこでビーカーごとご提供するようになったのです。

――プリンの作り方は創業当初から変わっていないのでしょうか?

白銀 原材料はよりよいものに変えていますが、基本的な製法は変わっていません。看板のカスタードプリンの原料は、植物性飼料で育てた鶏卵と北海道産の新鮮な牛乳、バニラビーンズ、上白糖のみ。素材同士が邪魔し合わずに互いを引き立て合う配合を追究しています。オーブンで20~30分火を通して卵の力だけで固めることで、お皿の上でしっかりと自立する、やや硬めのプリンが完成します。

 カラメルソースも創業から変わらずに作り続けています。グラニュー糖を鍋で焦がして作るほろ苦いカラメルはマーロウのプリンに欠かせません。熟練スタッフが焦がし具合を見極めながら、夏場も熱いコンロ前で手作りしています。昔ながらの味わいで、老若男女を問わずどなたさまにも安心して楽しんでいただけます。