奇跡は自分のなかにある、だから生まれ変わりさえすれば、きっと人生の逆転劇を起こせるに違いない――。「やればできる!」と思考が変わる話題のベストセラーが日本に上陸。31歳、一度は人生をあきらめた著者が再起できたのは、古今東西の成功者たちが持つ「6つのマインド」にあった。3000冊を超える本を読み、抽出された「プラス思考」「決断力」「切実さ」「愚直さ」「謙虚さ」「根気」を武器に、一度しかない人生、「なりたい自分」になる方法を1冊に凝縮。新刊『たった一度でもすべてをかけたことがあるか』から「自分ならできる」と信じられるノウハウを紹介する。

松下幸之助が天から授かった3つの成功の秘訣Photo: Adobe Stock

人生を邪魔するものが「道」となる

 日本の松下電器産業(現・パナソニック)は、ごく個人的な理由から創業されました。創業者の松下幸之助は体が弱かったため、会社勤務に向いていませんでした。給料は日当制だったので、休めば食事もできません。休んでも何とか食べていけるようにという実に些細な動機から、事業を始めたのです。

 当初の社員は創業者夫婦と婿だけでしたが、小さな家内工業から始まった事業は、年間売上8兆円を超える、世界屈指の大企業へと成長しました。松下幸之助は、その成功の秘訣を「3つの恵み」のおかげだと述べています。

「私は天から授かった3つの恵みのおかげで、大きく成功することができました。第1に、家がとても貧しくて、子どもの頃から靴磨きや新聞売りのような苦労をしたので、人生に必要な多くの経験を積むことができました。第2に、生まれつき体が弱くてに運動に努めてきたため、健康になりました。第3に、私は小学校にも通えなかったため、すべての人を自分の先生だと考え、誰にでも質問して学ぶことに努めました」

 貧しく、体が弱く、学歴もないという3点を、天がくれた恵みだというのです。

 トルストイの『アンナ・カレーニナ』は、このように始まります。

 幸福な家庭はいずれも似ているが、
 不幸な家庭はそれぞれ違う理由で不幸である。

 成功についても同様です。失敗した人たちはそれぞれ違った言い訳をしますが、成功した人たちが語る秘訣は、細部は違っていても、すべて同じです。逆境に負けずに、切実な執念で夢をつかみ取ったという話です。

 自分を押しつぶしそうなほど困難だった環境が、忍耐と感謝を教えてくれたというのです。このように、試練は心の筋肉を育てる栄養分なのです。誰かにとっては失敗の言い訳にもなりますが、別の誰かにとっては成功の理由ともなるわけです。

(本記事は、『たった一度でもすべてをかけたことがあるか』から抜粋、一部編集したものです)