「黒田ビッグバン」で史上最低金利
今年2月に日銀新総裁に黒田氏の指名が決まったとき、筆者に「ドリームチームだ」と語った海外投資家は、4月4日の黒田総裁が率いる日銀の決定を「Kuroda big bang、最高のプレゼントだ」とした。
かねて筆者が世界の中央銀行の「金融緩和オリンピック」と言っていることを受け、「今回のオリンピックの勝者は日本だ」と評価し、海外投資家をも十分に満足させるものだった。
4月5日に日本の10年国債金利は一時0.315%と、2003年6月に記録した0.43%を下回る日本の10年長期金利の最低値を更新した。これは、人類史上始まって以来の最低水準でもある。
今月4月2日に、米国でレンジャーズのダルビッシュ投手は完全試合を逃したが、4月5日に日本の市場参加者は歴史的瞬間に立ち会ったことになる。もとより、今日、日銀が行うインフレターゲットは、これまで各国中央銀行で行われてきたが、デフレに対処した対応は金融史上初と言ってよく、「金融政策の革命」に近い。
今や「おコメ」の味は薄すぎる
国債を中心とした債券は、多くの金融機関にとって運用の「おコメ」、「主食」として筆者は過去10年以上にわたって重視してきた。「おコメ」の味はキャリーとしての長短金利差にあるが、昨今、長期金利の大幅低下の環境下、「おコメの味」は随分と薄くなってしまった。
先に示したように、4月5日に10年金利は一時、0.315%まで低下した。このような極端な水準では、O/N金利との長短金利差は0.2%程度となる。それ以前の最低金利であった2003年の0.43%のときはゼロ金利政策下だっただけに、長短金利差は0.43%あったことからも、大きな差である。