「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

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親が言うことを聞いてくれない

「やめなって何回も言っているじゃない。どうしてわかってくれないの?」。親が自分のやり方を無理やり押し通そうとするときに注意する言葉です。

 しかし、この伝え方では事態は変わりません。仮にあなたからの意見が「最も合理的な解決策」だったとしても、歳をとった親としては「イヤなものはイヤ!」だからです。むずかしいですよね。

 駄々をこねる幼児とまでは言いませんが「正しいか、正しくないのか」で議論しても意味はありません。「同じ土俵に立たない、力比べをしない」それが大切です。

 こんなときは「わかった。じゃあ、それやってみようか」と声をかけてみてください。あなたが意見を受け入れることで、ひとまず親のフラストレーションを解消できます。

 そのあと、失敗するとわかったうえで、親の思う通りにやってみてください。やってみたところで、十中八九うまくいかないでしょう。

 ですが、そうなって初めて親は、自分の心の底から「老いては子に従えとはこういうことか」と自覚します。あなたの意見を聞き入れる余地が生まれ、耳を傾けてくれるようになるでしょう。まずはいったん失敗させるくらいの「心の余裕」を持てると、親の態度は大きく変わっていくはずです。

 はっきり言いますが、こういったケースの場合、子どもの意見のほうが正しいことは多々あります。ただ、親からすれば「正しいかどうか」は重要ではなく、とにかく自分の意見を聞いてほしいのです。

 少しでいいので、そのことを理解していただけるといい親子関係を築けるかと思います。