「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

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親がなかなか部屋の片づけをしない

「部屋が散らかっているよ。ちゃんと片づけないとダメじゃない」。部屋がぐちゃぐちゃになっていたり、不衛生になっていたりするときの声かけです。

 まず、高齢になってから「汚部屋になった」としたら注意が必要です。認知症、統合失調症、高齢うつ、強迫性障害、セルフネグレクトなど、なんらかの問題を抱えている可能性があります。

 完璧主義や真面目な人ほど、これらの問題を抱える傾向にあります。「一過性の現象なのか(疲れているだけなど)、病気が潜んでいそうなのか」を判断しましょう。必要に応じて、遠慮なく専門家の意見を聞いてください。

 さて、こんなときに親に伝えたいのはシンプルに「片づけ、一緒にやろうか!」のひと言です。この声かけを親は「自分のことを心配してくれた」「気遣ってくれた」ものとして受け取ります。あなたの提案を前向きな気持ちで受け入れてくれるでしょう。

 子どものやさしさに触れて、うれしく思わない親はいません。歳をとった親と今世で過ごせる時間は、とても限られています。「あと何回、親と会えるだろう」「あとどれくらい、親孝行できるだろう」と考えると、親への接し方が変わってくるものです。