空撮した東京写真はイメージです Photo:PIXTA

日銀の利上げに伴い、変動型の住宅ローン金利を見直す銀行が出てきている。こうした中、高騰が続いてきた東京の不動産価格が下がるのではないかという見方が強まっている。人口減少に金利上昇……不動産価格が下落する要素はそろったかのようにみえる。しかし、「そんなに簡単には下がらない」と筆者は考える。その理由とは。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

高騰し続ける「東京の不動産価格」
利上げでどうなる?

 日銀がついに利上げをし、マーケットに激震が走っています。米国の景気後退懸念も根強く、短期的には「何でも買えば上がる」という楽な株式相場はいったん終わったのかもしれません。

 その場合、しばらく高騰を続けていた東京の不動産市場はどうなるのでしょうか。

 識者の中には、東京の不動産市況の高騰は2030年あたりで終わるだろうと見ている人も少なくありません。人口減少社会であること以外に、金利上昇や、相続(高齢者が亡くなる)が大量に発生することなども、不動産価格の低下につながるだろうと考えられているのです。

 今回は、日本の人口が減少し、金利も上昇、これから団塊の世代が亡くなると“大相続時代”がやってくる中で、東京を中心とする首都圏の不動産市場はどうなるのか考察をしてみたいと思います。

「なぜ、人口減少社会で都心部の地価が上がるのか?」といぶかしんでいる方も多いでしょう。

 それは、逆説的に聞こえるかもしれませんが、「人口が減少するがゆえ」なのです。地方が衰退するのに反比例して都心に人が流入し続けるため、都心部の地価は上がるということなのです。