雑談写真はイメージです Photo:PIXTA

営業職について3年目の筆者は、雑談なしの懸命な営業トークに手ごたえを感じられず、スランプに陥っていた。そんな彼が出会ったのは、抜群の傾聴力をもつ心理療法講座の講師と、異業種交流会で無双する“人脈王”だ。聞き上手な人の“引き算”の雑談術と、相手との距離をグッと縮める話の広げ方について紹介しよう。本稿は、松橋良紀著『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)を一部抜粋・編集したものです。

雑談は一切なしで懸命な営業トーク…
そんな売れない営業マンが心理療法と出会う

 ピンポーン。

「はじめまして。10時のお約束で参りました、○○会社の松橋と申します」

「はーい、今あけます」

 個人宅に訪問する営業になって3年目。インターホンを押すとお客様がドアを開き、玄関に入ったら名刺を差し出しながら自己紹介。

「今回はお約束をいただきありがとうございます。○○会社の松橋と申します。よろしくお願いします」

 ここから廊下を通り、居間へ案内されますが、その間は無言です。居間に通されたら、大きなバッグの中から資料を取り出し、テーブルに広げます。

「ではさっそくですが、我が社のご案内をさせていただきます」

 そこからはひたすら営業トークを1時間ほど繰り広げます。そしてほとんどは契約には至らず、帰り道で

「営業の仕事は自分に向かないよな」

 はい、今思えば、雑談を一言もせず、売り込みだけ懸命にしている人が売れるはずもありませんでした。

 そんなとき、友人から「心理療法の講座を受けるんだけど、修了したらカウンセラーになれるんだって。一緒に行かない?」

 どうやら日本に入ってきたばかりのNLPという心理学を使った心理療法のようです。