時間分散投資よりも
かしこい通貨分散のすすめ
時間分散投資の効果が頻繁に語られる一方で、ほとんど語られないのが「通貨分散」である。長期資産運用を考える場合、通貨の分散は非常に重要なのに、なぜあまり語られないのか不思議でしかない。真剣に考えるべきは通貨分散である。日本での通貨分散とは、自国通貨である日本円以外の通貨で資産を長期運用の観点から保有することを意味する。
通貨分散といっても、外国通貨での資産であれば何でもいいわけではない。経済が安定し、成長している先進国に限定するのが安全だろう。具体的には、アメリカ、カナダ、通貨ユーロを使用する国、イギリス、北欧、オーストラリア、ニュージーランドなどが主に想定できる。
発展途上国も経済成長という観点から通貨分散の対象としたいのだが、通貨の価値は経済活動だけではなく、政治体制や規制などの影響も受ける。このことから、個人としては先進国に限定するのが望ましい。
次に通貨分散が望ましい理由を考えてみたい。
重要な理由として、経済力の観点を指摘できる。ここでの経済力には成長力を含めている。通貨の価値とは、長期的にはその通貨を発行する国の力を表現している。経済力が強ければ通貨の価値も長期的に上昇していく。