もう1点、長期運用だとしても、数日に分けて買うことが望ましいとの評価もありえる。もっとも、短期間において株価はランダムに動いていたとしても、長期運用のスタンスから見た場合、株価のランダムな動きを気にする必要性に乏しいと考える。

「この企業が長期運用にふさわしい」と判断したのなら、また株価の動きに異常がないことを確認したのなら、すぐさま買いを入れるべきだろう。時間分散は優柔不断に通じるから、投資チャンスを逃しかねない。株式市場の格言にあるように、「株価変動にともなうアヤというか尻尾は、ネコかイヌにでもくれてやればいい」とのおおらかさが重要である。

 では、積立方式はどうなのか。

 たとえば給料日に合わせて株式を少額で購入する場合、形のうえでは時間分散投資になっている。とはいえ長期運用の観点からは、積立方式が本来の意味での時間分散かどうか疑わしい。

 つまり、「大量の現金を持っていれば、できればこの瞬間に一気に株式購入に充当したいのだが、残念ながら現金がない」、だから積立方式を採用したのである。

 以上から、時間分散投資とその効果について、それを過信すべきではないと考える。