市長が2つの権限を行使しようとすれば、職員からものすごい反発、抵抗を受けます。ですから、実際にそれを行使したことのある市長は全国でもほとんどいないはずです。でも私は12年の任期の中で、関係部署に抵抗を受けても市民の望むことを実現すべく働いてきました。

 抵抗を受けようが、脅されようが、嫌がらせを受けようが、「やさしい街をつくる」という志を貫く一心で、誰にも屈することはありませんでした。

 私にできたのですから、他の市町村の首長にも2つの権限を行使することは必ずできるはずです。何度も言いますが、「やる気になればできる」ことなのです。

副市長は市長にとっての
最大の抵抗勢力になりうる

 市役所には市長を補佐し、時に職務を代行する役割を担う副市長という役職があります。いったん公務員を辞めてから就く特別職です。字面だけ見ると「市長をサポートする人」と多くの方が思われるかもしれません。

 しかし、地方自治を構造的に捉えた一般論として話せば、副市長は市長にとっての最大の抵抗勢力にもなりうる存在です。

 副市長は市の職員の代表であり、なおかつ議会と市長をつなぐパイプ役、調整の窓口といってもいい。つまり、基本的に副市長は職員の側の人間であり、議会(多数派)の側の人間です。