各部署の部長人事ですら「市長に部長人事権は数名分しかありません」と言われる始末。「えっ、どういうこと?」と聞くと、多くの部署は年功序列ですでに次期部長は決まっているから私の指名する余地はないというのです。

本来の権限を行使したがる
首長は組織内で大反発を食らう

 流れ作業で人事が決められるような状況の中、59歳にしてやっと部長になった人が本当に優秀な人材なら私も文句は言いません。しかし、単なる順番待ちで部長になった人に何を期待したらよいのか。

 役職にふさわしい志も長期展望もない、退職まであと1年の部長に、10年後の活気あふれる明石市を考える能力、さらにそれを成し遂げる実行力があるとはとても思えません。

 予算案にしても各課、各部で若干抑えながら調整されたものが市長のところに上がってきて、市長である私のすることといえば人事と同じく、判を押すだけの状況でした。

 要するに人事にしろ、予算にしろ、市長が目にする段階ではすでにすべてが決まっている。市長に口を挟む余地を与えないこういった役所のやり方は、明石市に限らず全国どこでも似たり寄ったりの状況です。