簡単にいえば、議会にとって副市長は自分たちの子分のような存在であり、役所職員からすれば自分たちの親分のような存在となります。
泉 房穂 著
議会の多数派が推す人が市長になれば、市長と副市長が対立する構造にはなりません。しかし、私のように支持母体となる集団を持たない(私の支持母体は市民です)人間が市長になると、当然副市長は組織防衛に走ります。とりわけそれまでの市役所のやり方を根底から覆えそうとする私のような市長であれば、組織の抵抗はより激しくなります。
私がもし既得権益のためだけに働き、職員や議員と仲良くしたいのなら、副市長はとても頼りがいのある存在になります。でも、私のように議会より市民を選び、職員より市民を選ぶと、副市長は必ずしも頼りがいのある存在とはいえなくなります。
副市長の選任には、議会の同意が必要です。形式的には市長が「この人を」と提案しますが、実際にそれを許可するのは議会なので「この人にやってほしい」と私がいくら思っていたとしても、抜擢人事を成し遂げるのは難しい。
だから一般論でいう副市長は「庁内の人望のある人。簡単にいえば人事畑のトップ」が就くことが多いのです。