では、争いを避けるために、どのような対策が必要なのでしょうか。
まず大前提として、トラブルに至りやすい人とは、なるべく付き合わないことです。
もちろん、たまたま疲れていたり、具合が良くなかったり、今の状況がかなりきついだけで、本人の性質がねじ曲がっているわけではない場合も多いです。
だからこそ、無理に近づくべきではないタイミングを見極めましょう。
たとえば「口調が荒い」「言葉に引っかかるものがある」「今まさに、ほかの誰かとトラブルを起こしている」「周囲の人が恐れている」「思い込みをなかなか訂正できない」
「SNSで怨念のような投稿をしている」などは、いったん距離を置くシグナルです。
もちろん、これらは一例に過ぎません。もし自分なりに「違和感」をキャッチしたら無理に相手とかかわろうとせず、「できる限り、戦いを避けよう」と考えましょう。
もし職場の同僚などがトラブルを起こしそうな状況に陥っているなど、「かかわらざるを得ない状況」にあなたがいる場合には、上長に対して「今のあの人とは、トラブルが起きてしまうかもしれない」と素直に相談してみましょう。
こうすることで、職場内において、苦手な人と1対1の関係になることが避けられます。これにより、お互いにストレスを軽減できるので、その後のトラブルに発展する可能性が低くなります。
これらの対策をしていたところで「どうしても戦わなければいけない」という状況がやってくることがあります。そのときは、速やかに行動にうつしましょう。
ただし、「なぜ戦うのか?」を明確にすることだけは忘れないでください。
定価1,760円(朝日新聞出版)
戦いは「相手がムカつくから」始めるのではありません。基本的に、戦いとは「自分の尊厳を守るため」や「自分の大切な権利を守るため」に行うものです。
どんなに犠牲があったとしても、戦わなくてはいけない理由がそこにあるのかどうか、これは明確にしておきましょう。
一方で「最初は戦うべきだと考えていたが、改めて考えるとどうでもいい」と思い直すこともたくさんあります。
戦いへと早急に舵を切らず、少し落ち着いてからどうするのかを考えてみるのも良いでしょう。
(ぱやぱやくん)
防衛大学校卒の元陸上自衛官。退職後は会社員を経て、現在はエッセイストとして活躍中。名前の由来は、自衛隊時代に教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。著書に『飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る』(育鵬社)、『陸上自衛隊ますらお日記』『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(以上、KADOKAWA)など。
※AERA dot.より転載