「戦争は、勃発した時点で双方負けである」元幹部自衛官が教える「どうしても戦わなくてはならないとき」とはぱやぱやくん最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』より(イラスト:なかきはらあきこ)

 人生の中で避けられないトラブルや不条理な発言に直面したとき、どう対処すべきでしょうか? Xフォロワー約30万人の元自衛官ぱやぱやくんは、「むやみに戦わない」ことの重要性を説きます。戦いを避けるための具体的な方法や、どうしても戦わなければならない場合に備える心構えを、著者の最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』から抜粋・再編集してお届けします。

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 人生の中では、どうしても嫌な人間に出会ってしまうことがあります。

 たとえば、自分がどんなに悪くなかったとしても「調子に乗るなよ!」とか「なめんなよ!」と不条理な発言に襲われてしまうことはあります。

 では、こうした事故のようなトラブルに見舞われたとき、私たちはどう対処すればいいでしょうか。

 これに対して、私の意見は次の一言に集約されます。

「むやみやたらに戦うな!」です。

 相手の挑発に乗って、相手の土俵で戦うことになった時点で、残念ながら、あなたの負けは確定してしまいます。これは、実際の戦場でも同じです。

 戦いにおける原則は「できる限り戦いを避ける」ことです。

 なぜなら、「自分には勝ち目がある」と考え、戦いを起こした時点で、実は相手の罠わなにはまっていたり、待ち伏せにかかっていたりすることが割と良くあるからです。

 それに加えて、そもそも戦いが発生するということは、誰かが必ず不幸になってしまいます。その状態はなるべく避けたいと考えているのです。

 たとえば戦場では、どんなに被害を最小限に抑えた作戦を実行しても、残念ながら、たいていの場合、犠牲者は発生してしまいます。

 またこちら側の作戦が成功を収めた場合でも、敵側には必ず犠牲者が出ますし、その家族に対して大きな禍根を残してしまいます。

 つまり、戦いが起こった時点で、結果として「誰も幸せにならない」のです。

 この戦いの規模が、戦場から人間関係に変わったとしても同じです。

 もし規模が「自分と相手だけ」に限定された場合でも、相対する人を打ちのめす場合には大きなストレスがかかってしまいます。

 具体的には、相手との言い争いはもちろん、「弁護士をつける」「裁判をする」など、言い争いから発展していくにつれて、費用も時間もかかってしまいます。

 こうしたコストは、普通の勤め人にとっては、割に合わないものです。