国家を守るため極限の状況で仕事をする公安警察。その「禁断の仕事術」を学ぶ全4回シリーズ。第2回は「自分を守るための絶縁術」。ときに繋がってはいけない人物とも繋がってしまう公安は、「関係を切るべき人」をどのように見定めるのか。公安部外事課に所属した経歴を持ち、ドラマ『VIVANT』(TBS)の監修を務めた勝丸円覚さんに「絶縁術」を解説してもらった。(セキュリティコンサルタント 勝丸円覚)
なぜ絶縁術が必要なのか
前回は、ターゲットが食いつく情報を手に入れる方法について、公安警察時代のエピソードを交えてお伝えしました。その最終的な目標は、ターゲットとつながること。仕事をしていると、本当は付き合いたくない人とたくさんつながってしまうのです。あなたにはまったくメリットがないのにいつまでも執拗に連絡をしてきたり、何かにつけて頼ろうとしたりしてくる人は皆さんの周りにもいるのではないでしょうか。今回は、一度繋がってしまった人と「関係を絶つ方法」について、公安時代に実践していたことをご紹介します。
一気に関係を切ったり、一方的に絶縁したりして悪い印象を残してしまうと、口づてであなたの評判を下げることにもつながりかねません。 従って関係を切る際は非常に慎重になる必要があります。
私の場合は、自分が公安であることを明かしてはいけないケースがよくありましたので、無駄に繋がっていることはリスクでしかありません。そのため、意識的に人との関係を絶つ「絶縁術」が、非常に重要でした。この原稿では、私の公安時代のエピソードを中心に解説していきますが、皆さんの日常にも応用してもらえるはずです。
そもそも、関係を切るべき相手とはそもそも出会いたくないと考える方が多いと思いますが、現実的にそれは難しいです。
なぜなら、 関係を切るべき相手を初見で見抜くことはほとんどできないからです。 プロファイリングなど専門的な知識を持つ私でさえも初めて会った人が継続的な関係を築くべきかどうかまでは分かりません(詳しくは第4回「プロファイリング術」にて)。
それに関わりたくない人でも、任務を遂行するために有益な「ホームラン級」の情報を持っていることがわかれば、かなり親しい友人関係になることも何度かありました。わかっていても繋がるしかない局面では、自分の願望など二の次です。
私が公安時代に積極的に縁を切ろうとした協力者に共通する特徴を2つ紹介します。