難波ふみ 著
家族にその感情を打ち明けてからも不安が薄れることはなく、亡霊のように常に私につきまとっていた。この言い知れぬ不安と恐怖は、他の人からすれば“潔癖がいきすぎている”くらいの認識にしかならなかったのも、もどかしい思いであった。
その頃の社会通念として、子どもの精神病というのはあまり一般的ではなかったこともあり、家族も私が病気であるとは考えが及ばなかったらしい。
ちなみに、中学は惰性で卒業させられたというか、放り出されたままで、高校受験なども一切しないでいた。姉と兄が私立高校に通っていてお金がかかっていたこともあり、学校という枠組み自体に嫌気が差していたこともあり、わざわざ行かなくてもいいだろうという考えであった。それに、何より、「部屋」を守らなくては……という思いが強く、私の未来の選択肢を極端に狭めていた。