「話はうまいけど心に響かない人」のあまりに典型的な特徴写真はイメージです Photo:PIXTA

話し方は流暢、説明する内容も完璧なのに……。営業や講師といった職業、あるいはプレゼンテーションなどの場面で、「話は上手なはずなのに、なぜか相手の心に届いている感じがしない」と悩んだことはありませんか。どうやったら相手に“刺さる”説明ができるのか?『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』の著者・犬塚壮志氏が、自身の経験を踏まえて解説します。(大学受験専門塾「ワークショップ」情報科講師/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

あなたの説明は、「独り言」になっていませんか?

「一生懸命準備したのに、相手の反応が薄い……」
「商品の良さを完璧に説明したはずなのに、興味を持ってもらえない……」

 ビジネスの現場で、あるいはプレゼンの場で、このような徒労感を感じたことはないでしょうか。資料は完璧、話し方も流暢、商品のメリットも網羅している。それなのに、なぜか相手の心に届かない。

 その原因は、あなたの説明能力が低いからではありません。話の内容や構成の問題でもありません。もっと根本的な、「矢印の向き」が間違っている可能性があります。

「独り言」になってしまう説明の典型例

 例えば、健康管理アプリの営業担当者が、60代の男性経営者にプレゼンをする場面を想像してみてください。

「弊社のアプリは最新のAI技術を駆使しており、若者に人気のSNS連携機能も充実しています!さらにゲーミフィケーション要素を取り入れており……」

 営業担当者は、自社商品の「機能」について完璧に説明しています。しかし、これを聞かされた経営者はどう思うでしょうか。

(若者向け?ゲーム?私が知りたいのは、ゴルフのスコア改善に役立つとか、忙しくても続く健康法とか、そういうことなんだが……)

 このすれ違いの正体は、話し手が「不特定多数の誰か」に向けた台本を読み上げているだけの状態、つまり「独り言」になっていることにあります。

 目の前の相手を見ていない説明は、どんなに美辞麗句を並べても、空虚な言葉の羅列にしかなりません。聞き手は瞬時に「これは自分のための話ではない」と心を閉ざしてしまうのです。