『ばけばけ』第90回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第90回(2026年2月6日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
「何遍聞いてもわしの心はもう辞めてもええ言って聞かんのじゃ」
宍道湖を散歩するトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)とヘブン(トミー・バストウ)。
「何、考えている?」とヘブンに聞かれたトキは以前、このへんを歩いたときより「寒くなってきたな」とか「やっぱし松江ってええとこだな」とか「ごくごく当たり前のこと」を答える。
ヘブンには「ごくごく」という響きがおもしろいようで、「ごくごく」「ごくごく」と楽しげに繰り返す。
トキはふと、「何事もなく散歩できちょりますよね」と自分の状態を確認し、「散歩できましたー」とはしゃぐ。
ようやくトキに笑顔が戻ってきた。するといつもの主題歌が今日は少し軽く聞こえるような気が筆者にはした。
散歩から帰宅して夕飯。「だいぶ冷えてきたでしょ」とフミ(池脇千鶴)。
「秋も深まってきたけん」
「そげですね」
「冬はやっぱり冬ですけん」
「冬はやっぱり冬か」
相変わらず意味のない繰り返しをする松野家の人々。
「そしたらまた悩むのう」と司之介(岡部たかし)は言い出す。
「寒いと朝つらいじゃろ、いいかげん仕事やめようかな思って」
もう50代、勤めを辞めたいと前から言っていた司之介。フミには辞めるも続けるも、自分の心が決めること、自分の心に聞くのがいいと言われていた。
「何遍聞いてもわしの心はもう辞めてもええ言って聞かんのじゃ」
主観の声は聞いた。今度は、客観的にヘブンに自分の心の声を聞いてもらうことにしたが、医者が聴診器で胸を聞くように耳をそばだてるも、「自分の心、聞いてください」とヘブンは司之介の意思に任せる。
その晩、ヘブンがイギリスに手紙を書いていると、トキが大絶叫する声が轟いた。







