年々人気が高まる小学校受験。今回は神奈川県の私立・桐蔭学園小学校の塩原副校長に人気の秘密を直撃取材。まずは「入学後に伸び悩む“深海魚問題”は起こるのか?」という最大の心配事を考える。さらに、「受かる子の傾向」「近年入学している子どもたちのタイプ」「入学後の内部進学率」「通塾率」「小学6年生時の理想像」など、入学後のリアルについても詳しく解説する。(MagicAI Pass 取締役 横山美菜子)
桐蔭学園小学校はなぜ人気?
どんな子が受かるの?
横山美菜子:塩原先生、今回は桐蔭学園小学校の特徴と教育方針について詳しくお伺いしたいと思います。2024年の志願倍率は男子8.9、女子が6.1、一般入試合計で7.5と高水準でした。
まず、桐蔭学園小学校がなぜこれほど人気なのか、その理由をお聞かせいただけますか?
塩原副校長:はい、本校の人気の理由は、時代の変化に対応した先進的な教育方針にあると考えています。
特に、6つのキーコンピテンシー(思考力、創造力、チャレンジ力、メタ認知力、思いやり、エージェンシー)を軸とした教育が、多くの保護者の方々の共感を得ているようです。
本校の最大の強みは、ICTを活用した先進的な授業と、子ども一人ひとりの個性を尊重した教育です。例えば、1年生からiPadを使った探究学習を行っており、子どもたちは自ら課題を見つけ、解決する力を育んでいます。
横山:具体的な授業の様子を教えていただけますか?
塩原副校長:もちろんです。例えば、体育の授業では、iPadを活用した新しい学習方法を取り入れています。子どもたちはお互いの動きをiPadで撮影し、その場で再生して分析します。「ここをこうすればもっと良くなるよ」といった具合に、子どもたち同士で意見を交換しながら、フォームの改善を図っています。
これにより、単に体を動かすだけでなく、客観的に自分の動きを分析する力や、他者にアドバイスする力も養われています。さらに、この活動を通じて、子どもたちのメタ認知力も自然と育まれているんです。
横山:それは素晴らしいですね。PCの授業ではどのような取り組みをされているのでしょうか?
塩原副校長:PCの授業では、プログラミングを活用した創造的な活動を行っています。特に印象的なのは、子どもたちがプログラミングを使って自分だけのオリジナル楽器を作る授業です。
「Springin' Classroom」というアプリを使用して、子どもたちは生活の中のさまざまな音を収集し、それらを組み合わせて独自の楽器を作ります。デザインも音も、全て自分でカスタマイズできるので、子どもたちの創造力が大いに刺激されます。
この授業では、個人で考え、グループで協力し、再び個人で完成させるという流れで進めています。これにより、創造力だけでなく、協調性やコミュニケーション能力も同時に養われているんです。
横山:厳しい受験をくぐり抜けた優秀な子どもたちが集結するとなると、進学後の伸び悩みも気になります。
「優秀な子どもたちが入学後にから伸び悩み、“普通の子”になってしまう現象(深海魚問題)」はあるのでしょうか?
次ページからは、受験突破後に起こりがちな「伸び悩みの防ぎ方」を深掘りする。さらに、「桐蔭学園小学校に受かる子の特徴」「近年の入学者のタイプ」「内部進学率」「通塾率のリアル」など、入学後の実情を解説していく。