2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

家族と他人を「同じ大切さ」で接すれば、人間関係の悩みの9割はなくなる

 ある男性から、次のような相談を受けたことがあります。

「私の実家は、代々続く造り酒屋なのですが、私は長男なので、親から『跡を継いでもらわないと困る』と言われ続けてきました。私は家業以外にやりたいことがあるのですが、家族のことを思うと、やりたいことを貫くことができません。どうすればいいのでしょうか?」

 なんとなく気が合う人、考え方が一致する人、一緒にいると心が安らぐ人と「私」は、前世からのご縁でつながっているようです。

 今生では他人でも、前世では、親子や兄弟であったかもしれませんし、恋人同士だったかもしれません。

 ですから、家族だけが重要なのではなくて、親、子ども、兄弟、親戚、友人、知人、初対面の人まで、「魂の距離」でいうと、じつはすべて「等距離」にあるようです。

 家族のしがらみなど、「家族をどのようにとらえるか」という問題で悩んでいる人がたくさんいます。

 家業を継ぐとか、名前を継ぐとか、一人娘だから養子を取らなければいけないとか……。

 私は、今まで、1万人以上の人生相談を受けてきましたが、「家族を特別視しなければ、悩み、苦しみの9割はなくなるのではないか」と思ったほど、多くの人が、家族のしがらみに縛られている気がします。

「誰が大事か」ということを階段にたとえると、私の場合は、「家族」と「他人」が同じ高さにいます。つまり、家族も他人も同じように大切である、ということです。

 一方、「家族のほうが、他人よりも『10倍』大事である」と思っている人は、家族の階段が10段上がるわけですが、それは「他人」の位置から見ると、「『10倍』大事ではなくなった」ことと同じです。

「家族が大事だ」ということは、「他人が大事ではなくなった」ということになるため、このギャップに苦しむことになるのでしょう。

 宇宙的なレベルで物事を考えると、親子とか、家族とか、他人といった区別はなくて、すべての魂は、全部、同心円、等距離にあることに気づきます。

 親子という名の他人、夫婦という名の他人、他人という名の家族、家族という名の「今生での縁」ということです。

 そのことが自分の中ではっきりと確認できると、親や兄弟や家族だけ、恋人だけ、自分の妻や夫や子どもだけでなく、「目の前にいるすべての人が大事である」ことに気づけるでしょう。

 この話をすると、「じゃあ、家族をないがしろにするのですか?」と聞いてくる人がいるのですが、そういうことではありません。

 自分のまわりにあらわれる人は全部、等距離ですから、「家族を大事にするのと同じように、まわりの人も大事にしてはいかがですか?」ということです。

 血がつながっている人も、いない人も、すべて大事な存在なのですから、初対面の人までも「全部、同じ距離にいるんだ」と思ってみては、いかがでしょうか。

 家族を大事にするのと同じ距離感で他人とも接するようにすると、家族のしがらみに縛られることが、だんだん少なくなってくると思います。

「私の目の前にいるすべての人が大事であると思うこと」、それが宇宙の真実だと思います。