変化の時代のリーダーに必要な3つのポイント

 福沢諭吉の人生行路と書籍『学問のすすめ』を参考に、時代の転換点で周囲に情熱を与えられるリーダーになるために、必要な能力を考えてみましょう。

(1)無駄なこと、効果のないことを「止めさせる」ことができる上司

 当たり前ですが新しい時代に効果を失ったことを、変わらず新人に押し付け続ける組織は生き残ることができません。諭吉は意味がなくなったことは、止めることを躊躇しませんでした。
  
 無駄だとわかっているけど自分では止められない、というのであれば新人はより効果の高いことに時間を注ぎ込むことができず、成長のスピードも鈍化したままです。

(2)「正しい視点」を探す能力、現場で効果を確認する能力があること

 知見=正しいものの見方を探し、他者と交換し、それを広める能力が重要だと『学問のすすめ』は述べています。新しい市場、顧客の要求などを含め「今を正しい視点で眺める」ことが常に求められるビジネスでは、知見を探して現場で検証している上司は「ズレたこと」を部下に押し付けることがありません。

(3)小さな殻を破り、周囲に外に目を向けさせる能力

 これは小さな殻を破るより、「外に目を向けさせる」ほうが先かもしれません。『学問のすすめ』は当時でも日本が狭いと感じさせるほどの視野を持ち、これだけ広くさまざまなことがある中で、君のいま立っている場所はここだ、というメッセージに溢れています。

 適切な形で外に目を向けることで、自然に閉じこもっていた小さな殻を破れるようになるのです。

 リーダーシップにも、上司力にもさまざまなタイプが存在します。しかし「大変革期」という条件ならば、福沢諭吉と『学問のすすめ』には学ぶべき点が山ほどあるのではないでしょうか。

『学問のすすめ』はあの時代に、日本の新たな可能性を描くことでエネルギーに溢れた明治を生み出したのですから。

 明治維新以降、日本が驚くべき速度で近代化を成し遂げた時代に「福沢山脈」と後に呼ばれるほど多くの人材を育てた秘密の一端を、皆さんも発見できるかもしれないのです。(第10回に続く)

次回は5月14日更新予定です。


新刊書籍のご案内

「超」入門 学問のすすめ

この連載の著者・鈴木博毅さんが、『学問のすすめ』を現代の閉塞感と重ね合わせながら、維新の「成功の本質」を23のポイント、7つの視点からやさしく読み解く書籍が発売されました。歴史的名著が実現させた日本史上最大の変革から、転換期を生き抜く方法をご紹介します。変革期に役立つサバイバルスキル、グローバル時代の人生戦略、新しい時代を切り拓く実学、自分のアタマで考える方法など。140年前と同じグローバル化の波、社会制度の崩壊、財政危機、社会不安などと向き合う転換期の日本人にとって、参考となることが満載です。

ご購入はこちらから!→ [Amazon.co.jp] [紀伊國屋書店BookWeb] [楽天ブックス]

13万部突破!好評発売中!

「超」入門 失敗の本質

野中郁次郎氏推薦!
本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である

13万部のベストセラー!難解な書籍として有名な『失敗の本質』を、23のポイントからダイジェストで読む入門書。『失敗の本質』の著者の一人である野中郁次郎氏からも推薦をいただいた、まさに入門書の決定版。日本軍と現代日本の共通点をあぶり出しながら、日本人の思考・行動特性、日本的組織の病根を明らかにしていきます。現代のあらゆる立場・組織にも応用可能な内容になっています。

ご購入はこちらから!→ [Amazon.co.jp] [紀伊國屋書店BookWeb] [楽天ブックス]