「前受け不合格→一念発起で追い上げ」は都市伝説!?1万人追跡調査で判明したお試し受験の真実写真はイメージです Photo:PIXTA

中学受験において、本命校の受験前に受験する「前受け受験」。仮に合格しても実際には通わない、または通えない距離にある学校を受験するので「お試し受験」と呼ばれることもある。連載第8回では、「前受け受験のメリットとデメリット」をリアルに解説する。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之)

前受け受験をする理由として
「塾の勧め」「周りが受けるから」はNG

 近畿圏や千葉、埼玉では1月に、東京と神奈川では2月に多くの中学校が入試を行い、“入試本番”を迎えます。

 一方で、こうした学校の受験よりも前の時期に入学意思や入学の可能性のない学校を受験するケースも多くあります。それが前受け受験です。

 11月になると、前受け受験について「うちはどうしようか」と考え始める家庭が増えてきます。ひょっとしたら、すでに前受け受験の際に泊まるホテルを予約している人もいるかもしれません。

 今回は、前受け受験を「意義深い受験」にするためのポイントや、本番の入試で意識すると良い視点を紹介します。

 まず、「塾から絶対に受けたほうが良いと勧められている」「周りがみんな受けるから」といった理由で前受け受験を決めるのはおすすめしません。メリットとデメリットを冷静に判断するのが大前提です。

 ちなみに、関東圏で前受け受験が当たり前になった背景には、2000年代前半に渋谷教育学園幕張中学校が東大の合格者数において千葉県で一位になったことと、栄東中学校(埼玉)が東大コースを設置して人気を集めたことが関係しています。

 それ以前は、偏差値が高い全寮制の地方の学校などが「前受け受験」の対象でした。当時はいずれの学校も「必ず受験しよう」という風潮でもありませんでした。