「模試の成績は悪いのに、過去問の点数が異様に高いのはなぜ?」→中学受験のプロが教える「最悪の可能性」にドキリ写真はイメージです Photo:PIXTA

中学受験の志望校が具体的になってくると、意識するのが「過去問」だ。多くの塾は、小学6年生の秋から過去問演習を勧める。解き始めてぶつかる悩み11問への対処法について、実際に寄せられたお悩みに前後編でベテラン講師がズバリ解説。前編は合格ラインの考え方や、過去問と模試の結果の関連性など6つの質問にお答えする。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之)

初めて解く過去問は
とんでもない点数にあぜん…

 今回は、塾の保護者や生徒から実際にいただいた「過去問」に関する質問にお答えします。通っている塾の方針や、やり方はまちまちだと思いますし、お子さんの志望校や学習状況もまちまちなのは承知しています。そうした中でも、「これは得点力向上に即決するだろう」「お役に立てるはず」と思われるものを厳選してお伝えします。

■お悩み1
「過去問を解いてみたら、とんでもない点数であぜんとしました。みなさんそうなのでしょうか?またいつ頃、合格ラインに届きますか?」

 初めて過去問に取り組まれたのは9月でしょうか?その時点で、第一志望の過去問で手応えがある数字が取れる生徒は少数派だと思います。特に基本問題の出題が少ない学校の「算数」では、採点すると心をバキバキに折られる点数となる可能性もあります。

 実際、私の塾にはこの時期に聖光学院中学校の過去問で11点、麻布中学校で6点という生徒もいましたが、無事、両校に合格しました。

 では、合格ラインにいつごろ届くのか、つまり合格最低ラインを超える時期はいつなのか。第一志望にされるような偏差値が高い学校は、お子さんが持っている偏差値である「持ち偏差値」よりも高い偏差値であることが多いため、合格最低ラインを超えるのは12月末から入試直前にかけてという例も少なくありません。

 実際に、1度も合格最低ラインを超えることなく、無事合格したという生徒も存在します。

 何年分か過去問を解いても点数が取れないので「志望校を変えようかな」と思うのであれば、「本気の志望校ではないの?」と励ましたり、奮起を促したりする声掛けを心がけています。