「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』の著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、インターン時代にビジコン優勝など数々の逸話を持ち、現在は人事コンサルタントとして活躍する山口貴一氏だ。今回はインターン時代に、会社説明会に94人もの学生たちを集めた時の話から、本当に自分に合う会社・学生の探し方を伺った。(ダイヤモンド社書籍編集局)
「日本の採用を変える」ために学生団体を立ち上げた
――山口さんはインターン時代、FIDIA(当時はSuprieve)の会社説明会で大人数を集めたと伺いましたが、その時のことについて教えてください。
山口貴一(以下、山口):この会社説明会は、僕が代表を務めていた学生団体が主催したもので、会社と学生をマッチさせるイベントとして企画しました。
僕は大学生の頃から、「日本の採用を変えたい」という強い想いを持っていました。
当時の日本の採用は、主に会社の業務内容や待遇面の良い部分だけを強調して、学生を集めるというのが一般的でした。
でもその内情を見てみると、日本の新卒入社3年以内での離職率は、約30%。約3人に1人が、早々に会社を辞めてしまっているんです。
その離職理由でもっとも多いのが、職場の人間関係でした。
僕はこの状況に「採用の仕方に問題があるんじゃないか」と感じていたんです。学生と企業が、お互いの人柄や価値観をしっかりと理解した上でマッチングできる仕組みが必要だと考えました。
その想いから、学生時代に自分で学生団体を立ち上げ、会社説明会を通じて、より良い採用の形を模索していました。
マッチアップイベントを開催したら、94人の参加者が!
――山口さんが立ちあげた学生団体だったんですね。
山口:そうなんです。「採用を変えたい」という思いを持っている学生メンバーを集め、僕が代表として団体を作りました。企業と学生をマッチングさせるイベントをいくつも開催していたんです。
その中で、僕はFIDIAで何度かインターンを経験していたこともあり、FIDIA向けのイベントも企画していました。そこに学生を集めて、会社に紹介するという流れでした。
森さんの『スタートアップ芸人』では90人と紹介されていますが、実際は94人集まりました。
――ほぼ100人じゃないですか!
山口:そうですね、惜しかったです(笑)
イベント内容は、会社と学生の交流会です。貸会議室を借り、企業と学生が直接交流できる場を設けました。
マッチングイベントとして、パネルディスカッションや1対1の話し合いなど、ただの説明会ではなく、より深いコミュニケーションができる場にしたんです。
イベントを開催してわかった、
採用で本当に望まれていること
――手ごたえはどんな感じでしたか?
山口:会社側と学生側、双方から非常に多くのフィードバックをいただきました。
まず、学生側の意見として、会社について本当に知りたい情報を調べられない、会社説明会に行ってもいいところばかり聞くので結局本当にいい会社かわからない、という声があったんですね。
それを踏まえ、僕たちのイベントでは、パネルを使ってフリーディスカッションをしたり、企業の人事担当者と学生とで一対一の話をしたりという場を設けたんです。
お互いに格好つけず、ありのままの会話ができるイベントにした結果、学生たちからは「企業の本音が聞けてよかった」「人事担当者の生の声がありがたかった」という反響をいただきました。
企業側からも「意欲の高い学生を集めてくれてありがとう」と感謝の言葉をいただきました。
94人もの学生が集まったのは、僕たちが会社と学生を人間性でマッチングさせたいという想いを持っていたからです。
その想いに賛同してくれる人が集まったのだと思います。
多くの学生が、自分と価値観の合う会社に入りたいと考えていることを改めて実感しました。
まとめると、「新人が入社後すぐに辞める理由・ワースト1」は職場の人間関係です。
企業が自社のカルチャーを明確に伝え、学生がそのカルチャーに共感できるかどうかを見極めることが、長期的な成功につながると考えています。
この視点については、森さんの著書『スタートアップ芸人』でも「会社のカルチャーを提示し、それに合った人材を採用する」という形で詳しく紹介されていますので、新人が辞めることで悩んでいる方には参考になると思います。