マクドナルドのアルバイトの「蔑称扱い」は間違っているPhoto:Mike Kemp / gettyimages

アメリカ人の8人に1人が、マクドナルドで働いた経験があるという。大統領選候補のドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏は、競い合うように「マックでのアルバイト経験」をアピールしている。アメリカでは低賃金のつまらない仕事を「マックジョブ」の蔑称で呼ぶが、実際には建設的な側面も多く存在する。(イトモス研究所所長 小倉健一)

トランプ氏がまさかのマックでバイト

「マクドナルドでずっと働きたかった」
「私はマクドナルドが大好きだ」
「一日中やっていても飽きないよ」

 大統領選挙の投票日が迫った日曜日の午後、ドナルド・トランプ前大統領はマクドナルドの厨房にいた。ユニフォームのエプロン姿で熱々のフライドポテトを揚げ、塩を振る。さらにドライブスルーでも接客にあたるというユニークな選挙キャンペーンを展開した。

 ドライブスルーには、次々と「お客」とされる人々が訪れたが、実際には「米シークレットサービスの審査を受けたトランプ氏の支持者たち」(米ワシントンポスト紙)であった。トランプ氏は記者団に対し、マクドナルドのスタッフについてこう語った。

「この人たちは本当に一生懸命働いている。彼らは素晴らしい。私は(料理が提供されるまでの)美しいプロセスを目にした」

 アメリカでは、マクドナルドでの仕事を「マックジョブ」と呼び、低スキル、低賃金、将来性が乏しい定型的なサービス業の仕事を指す蔑称となっている。そんな「マックジョブ」を、大統領候補であるトランプ氏が選挙キャンペーンに取り入れたことが話題となっているのである。

 読売新聞オンラインは以下のように報じている。

《トランプ氏はエプロンを着用し、従業員の指示に従ってポテトを揚げた。ドライブスルーの窓口では「すべて私のおごりだ」と言いながら、笑顔で商品を手渡した》

《民主党候補のハリス副大統領は学生時代にマクドナルドでアルバイトした経験を語り、裕福な家に生まれたトランプ氏との違いをアピールしてきた。トランプ氏の店舗訪問は、これに対抗する意味があるようだ。米CNNによると、店舗側は臨時休業して対応したという》

今回のトランプ氏の行動の発端は、ライバルのカマラ・ハリス副大統領の発言にある。