調査結果に冷静な依頼者
婚約者とカフェ店員の関係とは?

 調査3日目の土曜日は休日とのことで、動きがあってもそんなに早くはないだろうと予想しましたが、美陽さんは8時前に家を出ました。家を出た途端走り出した美陽さんを慌てて追いかけましたが、服装から見るにジョギングのようでした。ある程度走ったら帰宅するだろうことは予測できましたが、念のため走って付いていきました。

 30分ほど走り続け、美陽さんには50メートル以上も距離を開けられながらもなんとか付いていっていると、美陽さんは立ち止まって息を整えた後にベンチに腰掛けました。先に座っていた男性と待ち合わせだったようです。美陽さんが笑顔で話している男性は、行きつけのカフェの男性店員でした。

 小一時間ほどおしゃべりして美陽さんはベンチから立ち上がり、手を振って自宅の方へ走り出しました。この時点では不貞の要素は見られなかったため美陽さんを追うことにし、私とパートナーは走ってなんとか追い続け、帰宅するのを確認しました。

 それから2時間ほどして、美陽さんはは自宅から出てきました。ジョギング用ではなく、お出掛け用の装いでした。程なく自宅前に車が止まり美陽さんは乗り込みました。運転席にはカフェの男性店員が乗っていました。

 車での尾行によって、食事をしたり、買い物をしたりしている様子が確認できました。時折手をつなぐ二人の距離感は相当親密であると判断できました。

 電話で報告を聞いた和貴さんの反応は、意外過ぎるほど冷静なものでした。

 しっかりした声で「彼は元カレだと思います。美陽と僕を引き合わせてくれた男友達から、美陽と付き合うことを報告したときに聞いたことがあったんです。結婚したかった男性がいたんです。元カレは、ミュージシャンになる夢が諦められず、美陽より夢を選んだんです」と話してくれました。