人は60代から急に老け込むことが多いが、特に男性のほうがおおむね老け込み方が激しいという。その原因のひとつに、閉経を迎えた女性は男性ホルモンが増えることが挙げられる。「長生きよりも元気、長生きよりもアンチエイジング」を提唱する和田秀樹医師が、78歳にして若々しい女優、中尾ミエさんに、男性ホルモンの重要性を説く。本稿は、中尾ミエ・和田秀樹『60代から女は好き勝手くらいがちょうどいい』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
医者の平均寿命は
実は普通の人よりも短い
和田:女性に年齢をお聞きするのはあれですけれども、中尾さんは今、おいくつですか。
中尾:今年で78歳です。
和田:お若いですよね。いつまでもお若いのがすごい。私のほうがよほど年寄りじみていて、糖尿病と心不全の持病持ちで、そのために利尿剤を飲んでいますからトイレがやたら近くなってしまって(笑)。
中尾:「医者の不養生」ですね。
和田:そうなんですよ。そのくせして、医者には逆らっている。血圧や血糖値を正常まで下げると、うまく頭が働かなくなるので、考えながらやっていますね。ワインを飲むことや食べたいものを食べることはやめない。それは糖尿病には最も悪い行為とされているわけですが、それも「まあ、いいか」と思うのです。ですから、私は「長生きよりも元気、長生きよりもアンチエイジング」という「価値派」です。
今の現代医学は、年を取ってヨボヨボでもいいから長く生きさせればいいという考え方が一般的ですから、私自身が身をもってそれに逆らっています。医者が言うことは基本的に数値を正常にすることばかりなわけですが、そういうことを推奨している医者の平均寿命自体が実は普通の人よりも短い。