ウォール街の女性幹部支える「専業主夫」増加決済ネットワーク大手ビザの幹部を務めるナタリー・ハイチ・ケリーさんと専業主夫のチップ・ケリーさん Emli Bendixen for WSJ (2)

 プライベートエクイティ(PE)投資会社EQTの幹部、スザンヌ・ドノホーさんは9月に入り、アジアと欧州を訪れる10日間の出張に出た。ニューヨーク州の自宅では、10代の子ども3人の新学期の準備を夫のマット・ドノホーさんが手伝っていた。

 それは簡単な仕事ではなかった。子どもたちは年齢が近いとはいえ、それぞれ別の学校に通い、課外活動も異なる。マットさんは13歳の子どもをニュージャージー州のホッケーの練習のために車で送り、3人全員をボストンの大会に連れて行った。その合間に、食料品の買い出しや食事の準備、宿題の手助けなどをこなした。

 これらは全て、家事や育児に専念するために2007年に退職したマットさんの一日の仕事だ。マットさんはジョージタウン大学とコロンビア大学で学位を取得し、以前は新興国市場を対象にしたトレーダーとして働いていた。米国では、妻が金融業界で経営幹部へのキャリアの階段を上る一方、家庭を守る役割を選ぶ男性の数が、目立たないながらも増えている。