経済対策での「政策協力」試金石
野党の公約受け入れ大盤振る舞いに!?
10月27日に投開票が行われた衆議院選挙では、与党の自民、公明両党が得た議席は合計で215議席と、過半数の233議席を下回った。
選挙結果の確定を受けて28日に会見した石破茂首相は、自公政権の枠組みは維持しながら、政策や予算編成などでは野党の一部に協力を求めることで政権運営を続ける意向を語った。
10月31日には自民党と国民民主党が幹事長会談で予算編成や税制改正で連携することが合意された。
だがその結果、石破政権は存続できるとしても、各種の政策については、協力を仰ぐ野党の意見を取り入れることが求められ修正される可能性があるだろう。選挙後の政権の経済政策姿勢が最初に明らかになるのは、2024年度補正予算編成を伴う経済対策となる。
衆院選挙では、与野党ともに物価高対策、個人消費刺激策を掲げた。与党は低所得向け給付金や電気・ガス料金、ガソリン代支援などを打ち出した。他方、国民民主党は基礎控除引き上げやガソリン代値下げなどを、他の野党も消費税率の引き下げや廃止を訴えている。いずれも国民に対して大盤振る舞いの減税、給付政策だが、それらの財源についての説明は不明確だ。
新規国債発行で賄われる場合には、その分、国民の負担が増えることになることから、財源を明示しないのは責任ある姿勢とは言えないだろう。
選挙の際には、得てして目先の利益を追う、ポピュリズム的な政策が打ち出される傾向がある。正しい政策を各党が党利党略を排して実現するのはいいことだが、政権運営の思惑からの「協力ありき」では「財政バラマキ」になる可能性があり危うい。