金融所得課税や医療保険料「応能負担」具体化できるか、石破新政権で深めるべき「受益と負担」論議Photo:Yuichi Yamazaki/pool/gettyimages

石破新政権が発足
「アベノミクス」と正反対の経済政策を

 自民党総裁選で勝利した石破茂氏が1日、国会で首班指名され新政権が誕生した。

 石破氏は、経済政策では岸田路線の継承を掲げているが、アベノミクスの失敗を繰り返すのではなく、その反省に立ってまっとうな経済政策に向かうことを大いに期待したい。

 自民党総裁選で争った高市早苗氏は、大胆な金融緩和策でマネーを供給すればデフレは脱却できるとするリフレ派の考え方をベースに、金融緩和の継続や経済成長至上主義を訴えていた。

 だがアベノミクスの異次元緩和を続けた10年(2013年度から22年度)の実質成長率の平均値は0.70%で、その前10年(03年度から12年度)の成長率の平均値である0.67%とかわらなかった。

 一方で、異次元金融緩和は大きな副作用を及ぼした。財政規律は失われ、行き過ぎた円安を招きインフレが生じ、格差拡大など所得分配面で大きな問題を生んだ。もっとも輸入インフレが、長く続いたデフレを終焉(しゅうえん)させる起爆剤となったのだから、皮肉だ。

 国民の多くがインフレに悩まされる中、いま必要なのは、アベノミクスとは正反対の方向の政策であることは明らかだ。その意味で石破氏の総裁選勝利は、自民党(党員や議員)の良識が最後の局面で働いた結果ということだろう。

 だが、問題はまさにこれからだ。