「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「都合の悪いこと」のトリセツ
職場の中で「成長が止まる無能」を見抜く方法について語りましょう。
会社員にとっては、「文句をスルーする」ということが大事です。
とはいえ、「ただの文句」ではなく、「有益な情報共有」であれば、それは受け入れるべきです。
人には、「他者の間違いを指摘したい」という欲があります。
テレビのテロップに誤字脱字を見つけると、わざわざ連絡をする人がいるようです。
そういう習性の「いい部分」は受け入れましょう。
「受け入れるか」
「受け入れられないか」の差
あなたが新しい事業を始めたとします。
それに対して現場から、「うまくいっていない」という事実が情報共有されたとします。
それを受け入れられますか。
たぶん気持ち的に難しいことではないでしょうか。
もしかすると、その情報を伝えてきた人のことを「嫌い」になるかもしれない。
そういう瞬間的な感情を、論理的に整理できないといけないのです。
自分に都合の悪いことでも、受け入れられるかどうか。
ここでの差が、仕事の成果になって表れてきます。
これが、職場の中で「成長が止まる無能かどうか」を見抜く方法なのです。
もちろん、「受け入れられる人」は成長します。
「受け入れられない人」の成長は止まります。
そのためには、「賛否両論ある」ということを受け入れておくことです。
それが頭にあるだけで、情報に対する受け取り方は変わるでしょう。
ディベートが教えてくれること
その訓練をしておく必要があります。
ここでは、「ディベート」の考え方が役に立ちます。
ディベートでは、AとBが二択における対立する立場に立って、それぞれから意見を出し、第三者がそれをジャッジします。
AとBはそれぞれのメリット・デメリットの情報を出すだけの役割です。
第三者はそれを受けて、どちらの意見がよかったかを選びます。
ここで大事なのが、AとBで説得し合ったり、意見を変えさせる議論が存在したりしないことです。
お互いは事実をあげるだけです。
AがBを説得したり、論破したりするのではありません。
そして、第三者はどちらかを選ぶだけです。
そこに中立も存在しません。
Aにとって、Bというのは、反対意見を出す人であって、別に敵ではありません。
それぞれの立場と役割に徹しているだけです。
だから、人の「好き嫌い」とは切り離されています。
その訓練になるのです。
ここでいう第三者が、上司などの意思決定者にあたります。
AかBか、「好き嫌い」ではなく、あくまで提示された情報で判断するのです。
あなたの意思決定は、ディベートのような場になっているでしょうか。
「あの人の言うことは聞かない」
「あの部下は必ず間違える」
「〇〇さんが言うのだから間違いない」……
そんなふうに、人の「好き嫌い」で判断していないでしょうか。
自分の胸に手を当てて、ぜひ考えてみてください。
また、反対意見の人を説得にかかることをしていないでしょうか。
それも時間のムダです。
組織において、1人1人、相手の考え方を変えようとする努力は、徒労に終わります。
責任を持った決定者がしなやかな意思決定をすれば、組織は回るのです。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。