「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

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「デイサービスの体験くらい行こうよ。ちゃんと生活できていないんだから」と、親を誘うひと言です。ここでは「ちゃんと生活できていないんだから」と釘を刺していますが、果たしてここまで言う必要はあるでしょうか。

 日常生活が困難になりつつあるのは、きっと親自身が一番身に染みてわかっているはずです。それを子どもに指摘されるとなれば、相当にショックを受けるでしょう。言うことを聞いてくれない親にいらだつのはわかりますが、もう少し冷静に声をかけられるといいですね。

 こんなときは「え、知らなかった!」と思えるような豆知識を伝えてみるのがおすすめです。たとえば「昔は王様や貴族しか、サービスを受けられなかったんだよ。介護保険料も納めているのだから受けなきゃ損!」などです。

 この言葉のポイントは「身体介護というものは王様しか受けられなかった特別なサービス」であり「受けなければ損」だとアピールしていることです。

 多くの人は「得すること」よりも「損すること」に敏感ですから「それなら試しに受けてみるかな」となりやすいのです。かなり“効果大”な声かけなので、試してみてください。