「旅館」は日本が誇る
伝統的な宿泊スタイル

 外国人には「RYOKAN」と呼ばれ、温泉や浴衣着用などを体験できるところもあり、根強い人気がある。修善寺「あさば」、箱根「強羅花壇(ごうらかだん)」、山代温泉の「べにや無何有(むかう)」など、鉄板の旅館が支持されているが、その背景には、これらがフランスで発足したホテル・レストランの非営利会員組織「ルレ・エ・シャトー」に加盟しており、このコンテンツから存在を知る人が少なくないことがいえる。

写真:銀山温泉(山形県尾花沢市)銀山温泉(山形県尾花沢市) 同書より転載

 江戸時代初期の大銀山として栄えた「延沢銀山」の名称に由来する銀山温泉は、大正から昭和初期の建築様式が残る木造の旅館が立ち並ぶ。ノスタルジックな風情が漂い、夕方にはガス灯が灯り、昼と夜の印象を大きく変えるのが見どころだ。

 ジブリ映画『千と千尋の神隠し』のモデルになった地としても有名で、また、国民的ドラマ『おしん』の撮影地でもある。

 歩き回れる規模感なので、食べ歩きやお土産屋さんなど温泉街を散策して楽しめる。立ち並ぶ旅館の壁に注目すると、「鏝(こて)絵(編集部注/壁を塗る漆喰と左官ごてで描かれる装飾)」と呼ばれるさまざまな絵が描かれており、訪問者を歓迎している。